公開日

2020/12/09

最終更新日

「東証一部上場はあくまで通過点」レアジョブ代表取締役社長・中村 岳氏に聞く

英語関連事業を展開する株式会社レアジョブは、2020年11月20日、東証マザーズから東証一部に市場変更を行った。昨年、東証マザーズで株価が約12倍に急伸したことで大きな注目を集めた同社だが、今回の市場変更の狙いはどこにあるのだろうか。代表取締役社長を務める中村 岳氏に話を聞いた(以下、敬称略)。

撮影:多田圭佑

マザーズから一部上場へ。市場変更の狙い

── おめでとうございます。今回の市場変更については、以前から計画していたのでしょうか?

中村:有難う御座います。そうですね、そもそもマザーズ市場は本則市場へのステップアップ市場という位置づけであり、基本的には10年間しかいられませんので、どこかのタイミングで市場変更を行うことについては考えていました。東証一部に必要とされる審査基準の中の形式要件の一つとして、「直近2年間における利益の総額」があるのですが、この数字の達成が見えてきたタイミングで、管理部門を中心に内部体制の整備等を含む様々な準備を進めていって、今回の承認となった次第です。

── 内部体制の整備については、マザーズ上場時の「大変さ」と比べると、違いはありましたか?

中村:比較するのは難しいですが、マザーズ上場時の内部体制整備の方が大変だったと思います。マザーズの上場審査は、それこそゼロから構築していくものでしたが、今回の一部上場への市場変更は、マザーズ市場に上場していることをベースにその上に積み重ねていくものであったためです。そのため、市場変更に際しては、もちろん実質的な面については再度すり合わせをしながら、東証一部上場に必要とされる細かな形式要件等を詳細に詰めていくような作業が中心でした。

── 創業以来、いくつかのサービスを展開されていますが、主力サービスは「レアジョブ英会話」だと思います。本サービスはどのような方に利用されていますか?

中村:本気で英語力を伸ばす意欲のあるビジネスパーソンの方を中心にご利用頂いています。受講者の方の中には、「レアジョブ英会話」を受講した結果、TOEICのスコアが300点上がって、希望の部署への異動を実現したり、TOEFLで100点を獲得し、海外MBAに合格した方もいらっしゃいます。ちなみに、海外MBAに関して言えば、私の友人が所属している海外MBA卒業生のコミュニティにおいては、メンバーの半数以上が「レアジョブ英会話」の受講者だったというお話を聞いたことがあります。弊社のサービスを実際にご利用頂いて、何らかの大きな成果を上げられた話を聞くと、本当に嬉しい気持ちになりますね。

スマートメソッド®コース ── 約4ヶ月間の短期集中で確実に英語力をワンランクアップ

── 「レアジョブ英会話」に加えて、10月に「スマートメソッド®コース」がリリースされました。本サービスの内容について簡単に教えてください。

中村:「スマートメソッド®コース」は、約4ヶ月間の短期集中で確実に英語力をワンランクアップさせるサービスです。元々は法人向けに提供されていたものですが、サービスを提供する中で数多くの成果が生まれてきており、英語力が伸びた実績が増えてきたタイミングで、個人向けにも展開することになりました。

── 短期間で一気に英語力を伸ばしたい方向けのサービスということでしょうか?

中村:「短期集中」と銘打ってはいますが、法人向けのアンケートを見ると、短期的に英語力を伸ばしたい方もいらっしゃる一方で、中長期的な視野で英語力を高めるために受講されている方も多いという印象です。

── 講師やコンサルタントについては、どのような方が担当されているのでしょうか?

中村:講師については、一定の基準を満たしたフィリピン人を選抜した上で、講師としてアサインしています。採用基準は比較的高めです。

コンサルタントについては、英語学習経験の豊富な日本人が担当します。レッスンの受講だけでなく、学習スケジュールの作成とコンサルタントへの共有、さらにはスピーキングテストの受験に至るまで、すべて専用のウェブサイト上で完結できるようになっています。

── スピーキングテストというのは、レアジョブ社で独自開発されたテストを使用するのでしょうか。

中村:そうですね。また、弊社では、スピーキングテスト単体の独自開発もしています。CEFR(※ 外国語のコミュニケーション能力を表す指標・国際標準規格)で定義されている6項目の指標に則った形で、受講者のレベルを能力別に細かく評価しています。テストは以前より提供していましたが、採点データが蓄積されてきたタイミングで、それらを機械学習を用いて、CEFRに準拠した自動採点のシステムを構築し、「PROGOS(自動採点版)」をリリースしました。テストを受験してから点数が返ってくるまでに従来であれば相応のタイムラグがあったのですが、採点が自動化されたことで、最速2~3分で測定結果を確認できるようになりました。

上場後の成長戦略について

── 今後の成長戦略については、どのようにお考えですか?

中村:変わりなくやっていきつつ、より大胆な事業展開を進めていくことができればと考えています。具体的には、英語関連事業を土台に、グローバルリーダー育成事業やキャリア関連事業を国内外に展開することを見据えています。今後、さらにグローバル化が進展する中、キャリアを構築する上で、英語力はもちろんのこと、グローバルに活躍するためのスキル習得を考える人をサポートしていきたいと思っています。また、市場変更に伴い、企業としての信用力が高まることを背景として、M&A等の選択肢についてもさらに積極的に検討していければと考えています。

中村:また、東証一部上場企業として、SDGsの達成についてもこれまで以上に積極的に取り組んでいくことが必要です。「レアジョブ英会話」は、日本の学習者に対する英会話学習機会の創出だけでなく、フィリピンにおける講師の就労機会創出にもつながります。重要なことは、人々の役に立つサービスを提供しつつ、それをビジネスとして成立させていくこと。事業成長だけでなく社会的責任についても強く意識しながら、様々な手段を通じて企業価値の向上を図っていければと考えています。