「キャリアに悩むすべての人の支えになりたい」ポジウィル代表取締役 金井 芽衣氏に聞く。

「人生100年時代」の到来が叫ばれ、働き方の選択肢が多様化する中、社会人生活の早い段階から、戦略的/計画的にキャリア形成に取り組むことの重要性が高まっている。実際、リクルートキャリアの「転職市場の動向データ」によれば、2009年度~2013年度と比べ、20代の転職は2.43倍に増加しており、特に、20代前半の転職は3.82倍にも達しているとのこと。その一方で、ロールモデル無き時代において、「自分らしい働き方」を見つけ出すことは決して簡単なことではなく、いわゆる「キャリア迷子」となってしまうケースも少なくない。

そうした状況を踏まえ、求職者が本当に必要な情報を得た上で、キャリアの意思決定を行うことができる仕組みの実現を目指すのが、ポジウィル株式会社だ。本稿では、同社の事業内容に加え、サービス立ち上げの経緯や今後の展望について、創業者/代表取締役の金井 芽衣(かない めい)氏に話を聞いた。

金井 芽衣(かない めい)

1990年群馬県生まれ。埼玉純真短期大学を経て、法政大学キャリアデザイン学部に編入し、宮城まり子教授の下、キャリアカウンセリングを習得する。 2013年、株式会社リクルートキャリアに新卒入社し、人材紹介部門の法人営業として勤務。 2017年4月に同社を退職。 2017年8月にポジウィル株式会社を設立。 国家資格キャリアコンサルタント保持。

撮影:多田圭佑

転職に関する2つのサービスを展開

ー 本日は宜しくお願い致します。まず、ポジウィルの事業内容について教えて頂けますか?

金井:宜しくお願い致します。弊社は、「ひとりひとりが人生にMissionを持てる社会を創る」というビジョンを掲げ、2017年8月に創業されたスタートアップ企業です。2019年12月現在において、匿名オンライン相談サービス「そうだんドットミー」と最高の転職を実現するキャリアのマンツーマントレーニング「ゲキサポ!転職」という2つのサービスを展開しています。

まず、「そうだんドットミー」についてですが、内容を一言で説明すると、求人を紹介されない形のオンラインキャリア相談サービスです。転職エージェントにキャリア相談を行う場合、志望企業に転職することをゴールとすることが一般的には多いと思いますが、「そうだんドットミー」では、転職自体を目的とせず、相談内容に応じて、適切なアドバイザーを紹介することに特徴があります。

ー 転職を目的にしていないのは意外性があって、面白いですね。

金井:有難う御座います。私たちとしては、一人ひとりのキャリアの理想と現実の本質的なギャップを解消せずに、その場しのぎの転職を行ったとしても、それは根本的な解決策にはつながらないと考えています。上記の考え方を踏まえ、「そうだんドットミー」では、転職そのものを前提としないことを基本的なコンセプトとして掲げています。また、具体的なサービス内容についてですが、アドバイザーが親身になってヒアリングを行い、質問を投げかけることで、相談者の方々が自身の魅力を認識することができるようにサポートしていきます。「悩みの根本的な原因がやっと分かった」「自分が大切にしている価値観に気づくことができた」という声を多数頂いており、大きな手応えを感じています。

出典:そうだんドットミー 公式サイト

次に、「ゲキサポ!転職」は、簡単に言えば、プロのキャリアアドバイザーが“つきっきり”で転職活動に伴走してくれるサービスです。「2ヶ月で30万円(税抜)」と個人向けサービスとしては高めの価格設定とさせて頂いているのですが、 有り難いことに、2019年7月のリリース以降、多数のお問い合わせを頂いています。上記の2つのサービスに加え、現在、新規事業をいくつか仕込んでいる状況です。内容については、追って、お伝えさせて頂ければと思います。

事業成長を加速させるべく、資金調達を実施

ー 先日、資金調達を実施されていましたが、いよいよ事業成長を加速させるフェーズということでしょうか?

金井:はい。ベンチャーキャピタルの「STRIVE」さんや株式会社ファンコミュニケーションズ代表取締役の柳澤安慶さんに加え、何人かのエンジェル投資家の方々に外部株主になって頂きました。今回、調達させて頂いた資金については、採用/サービス開発/マーケティング等に活用させて頂くことで、さらなる事業成長につなげていく所存です。

ー なるほど。特に注力する必要があると考えているのはどの領域ですか?

金井:そうですね。アドバイザーの方々の採用を強化したいと考えています。というのも、有り難いことに、非常に多数のお問い合わせを頂いておりまして、より多くのユーザーの方々にご対応できるような体制を作っていければと考えています。また、現状、アドバイザーの方々には業務委託ベースでお仕事を依頼させて頂いているのですが、今後は、それらのすべてを「内製化」する方向で考えています。また、マーケティングについては、サービス初期の頃は、私のツイッターアカウントをチャネルとして有効活用していましたが、今後は、より幅広い手段でマーケティングに取り組んでいければと考えています。

キャリアに悩むすべての人の支えになりたい

ー そもそも、金井さんが起業を志したきっかけは何だったのでしょうか?

金井:父親が会社を経営していたこともあって、会社員時代から「いずれは独立したい」と考えていました。ただ、リクルートを退職してからすぐに起業したわけではなくて、1年間くらい、何もせずに「フラフラ」していた時期がありました。その時、漫然とした日々を過ごす中で、「つらくないことって、つらいんだな」って思って。そして、そのタイミングで、スタートアップで頑張っているリクルート時代の同期の姿を見て、「私、このままでいいんだっけ」と思って、自分自身を見つめ直したのが起業のきっかけです。

ー キャリア領域で何かやろうとは思っていたんですよね?

金井:そうですね。「キャリアカウンセリングをやりたい」という気持ちはずっとありました。当初は、大学院に進学して、人事コンサルタントとして生きていこうと思っていたのですが、色々な方々とお話をさせて頂く中で、「20代のうちに事業をつくりたい」と思うようになり、「そうだんドットミー」のアイデアを着想するに至りました。サービスを開始した当初は、サイトはWix、問い合わせページはGoogle フォームで作っていまして、非常に簡素かつ原始的な方法で運用していました。かかった予算は5,000円くらいでしょうか。

ー カッコつけずに、まずは最小構成でリリースして、仮説検証を行うことを意識されたということですか?

金井:そう言って頂けると大変嬉しいのですが、実際は、「カッコつけたくても、カッコつける方法がわからなかった」と言った方が正確かもしれません(笑)

ー その後、どのような経緯で「ゲキサポ!転職」が生まれたのでしょうか?

金井:今年の1月にイベントを実施した際に、キャリアの“軸”が固まりきっていないユーザーの方とお会いする機会があって、「そうだんドットミー、使ってくださいよ」というお話をしたんです。すると、驚くべきことに、「もう、5回も使っています」と言われてしまって。そこで、「5回も使ってもらっているのに、この状態か」「私、全然、ユーザーさんに価値提供できてないじゃん」ということに気づいて、大きなショックを受けたんです。そこで、「とにかくなんとかしないと」ということで、その方に対して、「私がマンツーマンで“張り付き”でやらせて頂くので、1ヶ月5万円でいいので、一緒にやりませんか?」とお伝えして、徹底的にサポートさせて頂きました。すると、40社くらい面接したものの、思うような結果が出ていなかったその方が、ついに1社内定されたんです。そして、それが「ゲキサポ!転職」が生まれる直接的なきっかけとなりました。当時は、社内外の方々から、「それ、本当に売れるの?」「高すぎじゃない?」等と言われていたのですが、私の中では、明確なファクトがあったので、「このサービスは絶対にユーザーさんのためになる」「だから、売れる」という強い確信がありました。

ー 転職で年収アップを実現してしまえば、元は取れますし、費用対効果はかなり高いかもしれないですよね。

金井:そう言って頂けると非常に嬉しいです。実際、ユーザーさんの中には、「この金額は決して高くない」「50万円でも良いくらい」と言って頂く方もいらっしゃいます。今後は、さらにサービス内容を磨き込んで、多くの方々に使って頂きたいと考えています。

今後は、転職以外の領域にもサービスを拡大

ー 最後に、中長期的な展望を教えて頂けますか?

金井:2022年に上場することを目指して、転職以外の領域にもサービスを拡大していきたいと考えています。具体的には、あくまで現時点での構想ですが、副業/起業/結婚/育児/介護/家/お金などの分野を検討しています。「人生そのものに悩んでいて、どうしたらいいかわからない」そんな方々に役立つサービスを提供していければと考えています。

執筆者:勝木健太

1986年生まれ。幼少期7年間をシンガポールで過ごす。京都大学工学部電気電子工学科を卒業後、新卒で三菱UFJ銀行に入行。4年間の勤務後、PwCコンサルティング、有限責任監査法人トーマツを経て、フリーランスの経営コンサルタントとして独立。約1年間にわたり、大手消費財メーカー向けの新規事業/デジタルマーケティング関連のプロジェクトに参画した後、大手企業のデジタル変革に向けた事業戦略の策定・実行支援に取り組むべく、株式会社And Technologiesを創業。執筆協力として、『未来市場 2019-2028(日経BP社)』『ブロックチェーン・レボリューション(ダイヤモンド社)』などがある。