「目の前の受講生に徹底的に向き合う英語教育を」僕らの英語コーチング代表 竹内 智則氏に聞く

「人生100年時代」の到来が叫ばれ、社会人の学び直しの必要性が高まる中、ビジネスパーソンが獲得すべき汎用性の高いスキルの一つとして、「英語運用能力」に大きな注目が集まっている。特に、最近では、コーチング形式の英会話スクールが人気を博しており、高品質なレッスンを提供する企業が続々と増えつつある状況だが、その一方で、高額な受講料がネックとなり、受講を踏みとどまらざるを得ないケースもあるという。そうした状況を踏まえ、オリジナルのレッスンシステムにより、授業のクオリティを担保した上で、月2万円から受講することができるグループレッスン型の英語コーチングスクールを展開するのが「ぼくらの英語コーチング」だ。本稿では、同プログラムの代表/講師を務める竹内 智則氏にサービス立ち上げの経緯や今後の展望について話を聞いた(以下、敬称略)。

写真撮影:多田圭佑

竹内 智則 (たけうち とものり)

1991年静岡県生まれ。東京は雑司が谷にて、シェアハウスと旅行者向けの自転車ツアーを運営。外国人の友人を持ち、日頃から英語でのコミュニケーションを取る。会話の中で培った英語の技術を丁寧に伝えるコーチングに定評。 著書に 『英語文法日記』。

ー 本日は宜しくお願い致します。まず、竹内さんが「ぼくらの英語コーチング」を立ち上げるに至ったきっかけ等を教えて頂けますか?

竹内:実は、元々は弟がスクールを運営していたのですが、ある時、彼がいきなり「しばらく海外に行きたい。あとは頼む」と言い出しまして(笑)。それで、いきなり運営を任されることになって、どうしようかとしばらく考えたのですが、「せっかくだからやるか」ということで、引き継いだというのが最初のきっかけですね。

ー その時点では、竹内さんは英語教育に携わってはいなかったのですか?

竹内:そうですね。英語を使ってコミュニケーションを取るということに関しては、問題なかったのですが、それで英語を教えられるかどうかとなると、また別の話じゃないですか。なので、しばらく期間をとって、英語を教えるための訓練をガッツリやりました。

ー ちなみに、弟さんは今も海外にいらっしゃるのですか?

竹内:最近、帰国しまして、今はプログラマーとして企業に勤めています。どうやら海外に行った時に、「英語ができるだけでは仕事にならんな」と思うに至ったらしく、自分の将来的なキャリアを考えた時に、もっと勝負できるスキルが必要だと感じて、プログラミングをやろうと決めたようです。

ー なるほど。竹内さん自身は元々どのような仕事をされていたのですか?

竹内:23歳までミュージシャンをやっていまして、小学校等でドラムを演奏する仕事をしていました。ある時、手首を壊してしまい、ミュージシャンで生計を立てていくことが出来なくなってしまって、その時点で、もう普通の人生は考えていなかったんですよ。就職するにしても、「ミュージシャンをやっていました」という経歴では、やはり上手くいかないのではないかと考えていまして。そのような経緯で、「とにかく何か仕事を見つけなくちゃいけない」ということで、あるきっかけで、徳島県に移住しまして、2年程暮らしていました。

最初のうちは、なかなか友達ができなくて、大変でしたね。私自身、ミュージシャンを目指して上京したこともあって、最新の音楽の話とかが好きな訳です。でも、徳島の田舎町ということもあって、全然、話が合わなくて。それで、半年くらい、ぼんやりと過ごしていたのですが、ある時、海沿いの町だったので、サーフィンがしたいということで、隣の家に外国人の方が引っ越してきたんです。そこから、外国人との交流が始まって、英語を使うようになったという感じですね。

ー 英会話スクールを始めたのは、「まずは、自分にできることで何か始めよう」と考えたのがきっかけなのでしょうか?

竹内:そうですね。当時はとにかく生きていくことに必死でした。

ー 今でこそ多数の受講生の方がいらっしゃると思いますが、最初の頃は今のように枠が埋まっている感じではなかったのでしょうか。

竹内:そうですね。最初は、プライベートコーチングの形式で1対1で授業を行っていたのですが、当然ながら、1レッスンにつき1人の生徒さんしか相手にできないので、1ヶ月に5人くらいの生徒さんしか受け入れられませんでした。グループレッスン形式に変えてからは、より多くの受講生の方々にサービスを提供できるようになりました。あとは、集客の仕方についても、当初は色々と苦労がありましたが、まとめサイトなどのメディアに載せて頂けるようになってからは、比較的うまくいくようになったかと思います。

ー 教える内容は変わってきていますか?

竹内:2年くらいやっているので、最初の頃に比べると、結構、変わってきていますよ。今、カリキュラムが4つに分かれているのですが、特に初心者の方の場合は、教える内容が似てくることも多いので、徐々にパッケージ化を図っていった結果、今のカリキュラムに落ち着いたという状況です。2ヶ月ごとにカリキュラムを見直す機会を設けていて、その度にちょっとずつアップデートしていますね。

ー 皆さんは基本的にレギュラープランを選択されるのですか?

竹内:そうですね。2ヶ月のプランと4ヶ月のプランを半々の割合で選択頂いています。W受講プランですが、受講生の方にとってかなり大変そうなので、廃止にする方向で考えています。

ー 講師の方は何名くらいですか?

竹内:私だけです。下手に規模を拡大して、品質が低下することを防ぎたいという気持ちがあります。

ー 受講生の方々はどのような方々が多いですか?

竹内:結構、まちまちですよ。若い方はもちろんのこと、45歳くらいの管理職の方で、「英語は部下に任せているけど、自分でも話せるようになりたい」という方もいらっしゃいます。50代の方もいらっしゃいますね。

ー 「TOEICの点数を上げたい」ということで受講される方もいらっしゃいますか?

竹内:いらっしゃいますけど、うちのスクールではTOEICは教えないですよ。

ー その理由としては、TOEICを勉強することは、ある意味では、英語を学習する上で「回り道」になるとの考えからでしょうか。

竹内:いえ、TOEICも悪くはないと思いますが、TOEICを教えるスクールって他にもあるので、差別化を図りたいという気持ちがあります。あとは、TOEICを教えるのは、正直に言えば、私にとって、それほど面白くないのですよね(笑)。「どのようにして英語で言葉を繋げてコミュニケーションを取っていくか」について教えることが私の強みであると思っていますので、TOEICのスコアアップに関しては、他のスクールにお任せした方が良いのではないかと考えています。

ー 受講生の方の中には、「英語を習得することで、転職市場における自身の市場価値を高めたい」という動機で来られるケースも多いのでしょうか?

竹内:直接的に「市場価値を高めたい」という言い方をされる方はそれほど多くないように思いますが、転職や退職を機に英語を学ぼうとされる方は多いです。また、関連して言えば、この仕事をしていると、「人生の岐路」に立っている人とお会いすることが多いように思います。「市場価値を高めたい」というよりかは、新しいフィールドに行った際に、「ちゃんと戦えるように力をつけておきたい」という言い方がしっくり来るのかもしれません。

ー 先程、「無闇に規模を拡大する気は無い」というお話がありましたが、「売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放」という書籍がベストセラーになっているように、最近では、「とにかく業績拡大」ではなく、サステイナブルな経営の方向性にシフトしようとする流れが生まれてきているように思います。

竹内:その書籍はまだ読んでいないのですが、売上の拡大ではなくて、サステイナブルな経営を目指すという方向性に関しては、非常に共感します。私自身も、平日は教材として使用する資料を作成したり、アプリを開発したりしていますが、スクールの開講に関しては、土日限定ですしね。ただ、私の場合、集中すると、土日だけでエネルギーを使い切ってしまうという側面もあります。

ー 「3年後の業績目標」等は考えていないのですか?

竹内:考えていないですね。一応、月100万円くらいを収益の目標にしているのですが、無理に収益性を高めようとは思っていません。それよりも良いサービスを確実に受講生の方々に届けたいという思いの方が強いです。

ー ちなみに、竹内さん自身は、どのようにして新しいスキルを習得しているのですか?英語やプログラミングを短期間で習得されていて、学習方法自体に再現性があるように思えるのですが。

竹内:私の場合、何かを新たに学ぶ際には、まずは、書籍を4〜5冊読みますね。そして、どの書籍にも記載されている重要なポイントを頭の中に入れます。それがないと、どこから学べば良いかすらわかりません。また、ドラムをやっていた時は、好きなドラマーを見つけてから習得が早まりましたね。自分にとっての“理想”を見つけて、それを真似るのが良いのかもしれません。

ー “真似る”という点では、「写経」ってどうですか?プログラミングや英語を学ぶ方法として重視される方もいらっしゃるように思いますが。

竹内:私の場合、写経はやらないですね。シャドーイングに関しては有効だと思いますが、ただやるだけではダメで、意味を追いかけながらやらないと、あまり高い効果は得られないように思います。

ー なるほど。ちなみに、さらに脱線しますが、「AI(人工知能)の進化によって、英語スキルが不要になる」という議論が存在しますが、あの類の議論って、竹内さんとしてはどのように思われますか?

竹内:なかなか難しい問題ですよね。自分にはちょっとわからないので、あまり深く考えないようにしています(笑)。でも、そのようなことは可能性としてはあり得るのかもしれないですけど、仮に、自動翻訳ツールが生まれて、私の英語スクールが完全に淘汰されたとしたら、また別の事業をやるだけのことだと思います。

ー 今後、中長期的にやりたいことってありますか?

竹内:まずは、今、開発しているアプリを完成させたいですね。そして、その内容を将来的には書籍化することができればと考えています。

執筆者:勝木健太

1986年生まれ。幼少期7年間をシンガポールで過ごす。京都大学工学部電気電子工学科を卒業後、新卒で三菱UFJ銀行に入行。4年間の勤務後、PwCコンサルティング、有限責任監査法人トーマツを経て、フリーランスの経営コンサルタントとして独立。約1年間にわたり、大手消費財メーカー向けの新規事業/デジタルマーケティング関連のプロジェクトに参画した後、大手企業のデジタル変革に向けた事業戦略の策定・実行支援に取り組むべく、株式会社And Technologiesを創業。執筆協力として、未来市場 2019-2028(日経BP社)』『ブロックチェーン・レボリューション(ダイヤモンド社)などがある。