経営の桁を変えるレバレッジ倶楽部オンライン イベントレポート(株式会社ジーニー創業者 工藤智昭氏)

2020年6月24日、株式会社ピグマ主催のイベント「経営の桁を変えるレバレッジ倶楽部オンライン」が開催された。「経営の桁を変える」ことを主な目的として、目覚ましい実績を残した経営者をゲストとして招き、変革を起こすためのノウハウを共有することを主眼とする本イベント。今回は、株式会社ジーニーの創業者として知られる同社代表取締役社長・工藤智昭氏(以下、工藤氏)が登場した。

冒頭で、株式会社ピグマ代表取締役・太田智文氏から本イベントの全体像が説明された。

その後、ゲストである株式会社ジーニー創業者の工藤氏から自己紹介が行われた。

株式会社ジーニー 代表取締役社長 工藤 智昭氏
早稲田大学大学院(理工学研究科)卒業後、株式会社リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)入社。事業開発室にてアドネットワーク事業推進を行い、リクルートの広告を起点として、日本最大のエリアアドネットワークの構築を手掛ける。2010年4月 会社設立、代表取締役社長に就任。

「日本発の世界的なテクノロジー企業をつくる」という想いのもと、工藤氏は2010年4月に株式会社ジーニーを設立。意外なことに、創業当初の同社には明確なビジョンは存在せず、「とにかく会社を潰さずに生き抜くことだけを考えていた」と同氏は語る。

インターネット上の集客効率の向上やメディアのマネタイズ支援を行う「アドプラットフォーム事業」を軸に事業を開始したジーニーだが、現在では上記に加えて、企業の生産性向上や業績向上をサポートする「マーケティングテクノロジー事業」にビジネス領域を拡大している。

具体的には、マーケティングオートメーションツールの「MAJIN」や営業管理CRM/SFAの「ちきゅう」、さらには問い合わせと業績向上を同時に実現できるチャットボット「Chamo」等のサービスを展開。集客から販促、受注までを一気通貫して実行・管理できる唯一のセールス&マーケティングプラットフォームを提供している。

急成長するマーケット環境の中で、業界におけるリーディングカンパニーのポジションを確立すべく、資金調達を実施し、事業を拡大していった。その後、人材採用を強化するタイミングで、ブランドステートメントの刷新に取り組んでいった。

社内で本気でビジョンを浸透させようと決意するまでには、時間を要したという。ブランドステートメントの刷新–ミッションやビジョン、バリュー策定は簡単な作業ではない。事業が順調に成長を遂げていた当時、「優先順位を上げるべきか否か迷っていた」と同氏は振り返る。

そして、目標に掲げていた上場を2017年12月に果たして間もなく、ブランドステートメントの刷新に本格的に着手した。競合との競争が続き、社内外でのコミュニケーションの齟齬が生じるようになり、社員からも「ジーニーらしさについてもう一度考え、ビジョンを共有して仕事に取り組みたい」という声も上がってきたからだ。

「テクノロジーの先進性と人の誠実さが一体となってはじめて『価値』を提供していくことができる」。工藤氏のこうした強い思いと、社員一体となって考えた「ジーニーらしさ」を体現したブランドミッション「テクノロジーで新しい価値を創造し、クライアントの成功を共に創る」が、2018年9月に完成した。

このミッションに基づき、クライアントとの信頼関係を築きながら事業を拡大するというスタンスを改めて確認し、採用基準の抜本的な変革も行った。新卒・中途を問わず、誠実で実力があり、なおかつ同社が掲げるビジョンに対して強い共感を持つ人材を積極的に採用するという基本方針を定めた。結果、ビジョンの浸透によって、従業員満足度が著しく向上。社会的使命やミッションに共感し、能動的に働こうとする社員が増えたという。

出典:2020年3月期 決算説明資料

「会社を経営していると、想像を絶するような困難に直面することがある。そして、そのたびに、会社を続けることができるのかを試されることになります」と語る工藤氏だが、そんな逆境下において最も大切なことは、経営者自身が揺るぎないビジョンを持ち続けることができるかどうかだと語る。

「自分自身のためだけではなくて、世の中全体のためになる、社会を前進させるようなコンセプトを持つことが重要です。そのようなビジョンを掲げることによって、周囲の方々から応援していただける会社に近づいていくことができると思う」

さらに、「20〜30年かけて叶うか叶わないかというくらいのレベルの高い志やビジョンを掲げることが、持続的な企業成長を実現するための大きな原動力となる」と話し、会を締めくくった。

次回日程について

今回のイベントレポートは以上となる。次回のレバレッジ倶楽部オフ会の開催日程は2020年7月28日。ゲストとしては、2018年10月に東証マザーズ上場を果たしたCRGホールディングス株式会社 代表取締役社長・古澤 孝氏を迎えて開催する。詳細については、こちらを参照のこと。

執筆者:勝木健太
1986年生まれ。幼少期7年間をシンガポールで過ごす。京都大学工学部電気電子工学科を卒業後、新卒で三菱UFJ銀行に入行。4年間の勤務後、PwCコンサルティング、有限責任監査法人トーマツを経て、フリーランスの経営コンサルタントとして独立。約1年間にわたり、大手消費財メーカー向けの新規事業企画/デジタルマーケティング関連のプロジェクトに参画した後、大手企業のデジタル変革に向けた事業戦略の策定・実行支援に取り組むべく、株式会社And Technologiesを創業。執筆協力として、『未来市場 2019-2028(日経BP社)』『ブロックチェーン・レボリューション(ダイヤモンド社)』などがある。