アプリプロモーションの邪魔になるアドフラウドの実態と対策|Phybbit佐藤裕樹氏・ファンプレックス上野亮氏

2019年9月27日、世界59か国で6,500件以上の導入実績を持つCE(カスタマーエンゲージメント)プラットフォーム「Repro」を提供するRepro株式会社と、機械学習を活用したアドフラウド対策ツール「SpiderAF」を提供する株式会社Phybbitの共催で、アドフラウドに対する対策方法とASOにフォーカスをあてたセミナーが開催された。

本稿では、セミナーの前半部分を構成する「アプリプロモーションの邪魔になるアドフラウドの実態と対策(講演者:株式会社Phybbit 佐藤裕樹氏(以下、佐藤氏) / ファンプレックス株式会社 上野亮氏(以下、上野氏) )」の概要をお伝えする(写真撮影:多田圭佑)。

講演概要

本セミナーは、アプリ事業者向けに開催されたクローズドなイベントであることを踏まえ、セミナー内で紹介された内容を要旨に限定して記載する。詳細な内容については、実際にセミナーに足を運ぶことを推奨する。

次回講演予定:株式会社 Phybbit アドテック東京

冒頭で、株式会社Phybbitの佐藤氏から本日のアジェンダが発表された。

  • 前半:アドフラウドの具体例と検知の仕方
  • 後半:スマホRPG『戦国アスカZERO』を運営するファンプレックス社のアドフラウド対策事例

上記のアジェンダを踏まえた上で、佐藤氏は直近のアドフラウドに関するニュースの振り返りを行った。NHK「クローズアップ現代」でアドフラウドがテーマとして取り上げられたこと、Yahoo! JAPANがアドフラウド撲滅に向けてガイドラインを厳格化したこと、アドフラウドの観点から見た漫画村問題等のトピックに言及しながら、アドフラウドに関する社会的な関心が高まりつつあることが伝えられた。

次に、佐藤氏はアドフラウドに用いられる典型的な手法をいくつか紹介した。具体的には、スマホに感染しているマルウェアが広告の表示やクリック・インストールを自動的に行う「ハイジャック(乗っ取り)」や実際には表示・クリックされていない広告を表示・クリックされたように偽装する「フローディング(洪水)」等の手法が紹介された。

上記の手法を示した上で、佐藤氏は「すぐにできるアプリのアドフラウド検知方法」を紹介した。具体的には、「Time to Installの分布は正常か」「OSの分布は正常か」「デバイスの分布は正常か」「アクセス元のIPはau、docomo、softbankが5割以上か。また、それらが正常に分布しているか」「初回起動からイベント発生までの時間は正常か」等が挙げられた。

後半では、グリー株式会社の100%子会社であり、ソーシャルゲーム運営のプロフェッショナル集団として知られるファンプレックス株式会社の上野亮氏を招き、広告主であるアプリ運営者の視点を踏まえた上で、議論が展開された。

上野氏自身、アドフラウドが広がっていること自体は認識していたものの、実際にアドフラウド被害を経験したことがきっかけとなり、アドフラウド対策を意識するようになったとのこと。

実際に行ったアドフラウド対策としては、「計測SDKでのアドフラウド対策」「ROAS運用の徹底」「SpiderAFの導入」が挙げられる。また、SpiderAFについては、自社内のみならず、広告代理店とも連携して利用していると言う。

上野氏曰く、アドフラウドの種類によっては、ROASを良く見せてしまうケースもあり、デジタルマーケティング担当者はこれまで以上に高いリテラシーを持って広告運用を行なっていくことが求められるとのこと。また、アドフラウドは反社会的勢力の二番目に大きな収入源であるとの調査結果もあり、広告に関わるすべての人々にとって、アドフラウドに対する正しい知識を獲得することはきわめて重要であることが伝えられた。

※ ROAS(Return On Advertising Spen)とは、広告費に対してどれだけ広告経由で売り上げがあったか成果を計る指標のことを指す。

最後に

最近では、「yappli」のようなアプリ開発・運用・分析を簡易化するサービスが生まれてきていることもあり、伝統的な大手企業においても、アプリ開発に積極的に取り組むケースがますます増えつつある。自社サービスにアプリを導入することは、顧客接点の拡大を図る上で重要な取り組みであり、それ自体は好ましい動きであると筆者も感じている。一方で、アプリ開発後の(広告)運用フェーズにおける「アドフラウド対策」については、極めて重要度・緊急度の高い問題であるにもかかわらず、十分な対策が為されていないケースが少なくない。

アプリを活用した新規事業を推進する場合、アプリ開発後の運用フェーズにおいて、経営層に向けた正確かつ定期的なレポーティング業務に取り組むことが必要不可欠であるが、アドフラウドのような高い専門性を要する分野において、レポーティング体制を自社でゼロから構築することは、その技術的な複雑さもあって、それほど現実的な選択肢とは言えないだろう。そこで、株式会社Phybbitが提供する「SpiderAF」のようなサービスに対する需要が今後ますます高まる可能性があると筆者は感じた。

株式会社Phybbitでは、今回のようなイベントを定期的に開催している。アドフラウドに対する知見を高める必要がある場合、一度、足を運んでみるのも良いかもしれない。

次回講演予定:株式会社 Phybbit アドテック東京

執筆者:勝木健太

1986年生まれ。幼少期7年間をシンガポールで過ごす。京都大学工学部電気電子工学科を卒業後、新卒で三菱UFJ銀行に入行。4年間の勤務後、PwCコンサルティング、有限責任監査法人トーマツを経て、フリーランスの経営コンサルタントとして独立。大手消費財メーカー向けの新規事業/デジタルマーケティング関連のプロジェクトに参画した後、大手企業のデジタル変革に向けた事業戦略の策定・実行支援に取り組むべく、株式会社And Technologiesを創業。執筆協力実績として、『未来市場 2019-2028(日経BP社)』『ブロックチェーン・レボリューション(ダイヤモンド社)』、寄稿実績として、『キャリアハック』『Forbes JAPAN』『ダイヤモンド・オンライン』『BUSINESS INSIDER JAPAN』『ITmedia』等がある。Facebookアカウントはこちら / Twitterアカウントはこちら