公開日

2022/06/08

最終更新日

「5年以内にM&A」3割超~M&Aのストライク調べ~目的は「後継者不在の解消」が5割

M&A(企業の買収・合併)仲介大手として知られるストライクが、中小企業の経営者に対して、「5年以内に(国内外の)M&Aに関わる可能性があるか」と聞いたところ、3割超の経営者が「可能性がある」と答えた。M&Aの目的として最も多かったのは、「後継者不在の解消」で、5割を超えた。「事業や営業エリアの拡大」といった回答も目立ち、M&Aが事業成長のための手段として、一般的になりつつあることを示す結果となった。経営者の高齢化を背景とした企業の後継者不足の問題があらためてクローズアップされる中、ストライクは11月7~11日の期間で、インターネットを通じて、年代別(20代~70代以上)の意識調査を実施した。経営者が対象で、有効回答者は311人だった。

「譲渡側になる可能性がある」15%

調査結果によると、「5年以内にM&Aに関わる可能性があるか」との質問に対して、約33%の人が「可能性がある」と答えた。「譲渡側となる可能性がある」と回答したのは15%、「買収側となる可能性がある」は7%、「両方の可能性がある」は11%だった。「わからない」は18%、「M&Aに関わる可能性はない」は48%だった。第一次ベビーブームの時期に生まれた「団塊の世代」の大量退職などを背景に、中小企業では事業をどのようにして次の世代に伝えていくかが深刻な課題となっている。こうした事情が「譲渡側となる可能性がある」との回答を押し上げたとみられる。

高齢の経営者ほど「後継者不在」が深刻に

「M&Aをする目的は何か」との質問に対する回答では、「後継者不在の解消」との回答が53%に達し、高齢化社会の影響が色濃く反映された結果となった。「事業の短期間での拡大」(19%)、「営業エリアの拡大」(16%)、「新規事業への進出」(15%)、「事業の選択と集中」(15%)などが続いた。跡継ぎがいないという回答だけでなく、前向きの事業戦略の選択肢の一つとして、M&Aを検討している経営者も多い。経営譲渡側の目的を年代別にみると、20代では「新規事業や事業再生のための資金調達」が回答の25%と多く、30代では「大手資本の傘下へ入り経営基盤を安定化」が14%と多い。一方で、50代~70代以上では「後継者不在の解消」との回答がいずれも5割を超え、経営者が高齢になるほど、後継者不在の問題が深刻になっていることをうかがわせた。

8割以上の経営者が「M&Aの提案受けたことない」

一方で、実際にM&Aの提案を受けた経営者は少ないのが現状だ。「これまでにM&Aの提案を受けたことがあるか」との質問に対して、「ある」と答えた経営者は17%にとどまり、「ない」と回答した経営者は83%にのぼった。年代別にみると、若い経営者ほど提案を受けたことがあると答えた人が多かった。特に、20代では半数にのぼった。一方で、50~60代で提案を受けたことがある経営者は1割前後にとどまった。「M&Aについてどのような提案を受けたか」との質問に対しては、「買収」と答えた経営者が58%と最も多かった。「譲渡」は40%、「合併」は37%だった。年代別にみると、20~30代の経営者には譲渡を促す提案が多く、50代以上の経営者に対しては買収を促す提案が多かった。

今後の展望について

上記のアンケートにより、事業承継等の文脈におけるM&Aに対するニーズの高さがあらためて浮き彫りになった結果と言える。同時に、事業戦略の選択肢の一つとして、M&Aを検討している経営者が増加していることも重要な動きと言えるだろう。また、これに関連して、令和2年(2020年)税制改正大綱において、「オープンイノベーション促進税制」が創設され、創業10年未満・未上場のベンチャー企業に対する1億円以上(中小企業は1,000万円以上)の出資について、25%の所得控除を享受することが可能となることが見込まれている。大手企業を中心として、M&Aを通じたイノベーションの創出に関する取り組みがより一層加速する可能性もあり、M&Aアドバイザリーは転職を考える上でも要注目の職種と言えるだろう。

画像引用元:ストライク 中小企業経営者のアンケート結果