グローバル化にチャレンジする先駆的企業が語る外国人採用の実態と本音[Sansan×ZOZO×クラスメソッド×NTTアドバンステクノロジ]

2020年5月20日、全研本社の主催により、「インド バンガロール グローバル・インバウンドシンポジウム in TOKYO」と題するイベントが開催された。本稿では、グローバル化にチャレンジしている先駆的企業による外国人採用の実態や本音に関するパネルディスカッションをお届けする。

登壇者プロフィール(以下、敬称略)

藤倉成太(ふじくら しげもと)
Sansan 執行役員 CTO
株式会社オージス総研でシリコンバレーに赴任し、現地ベンチャー企業との共同開発事業に携わる。帰国後は開発ツールなどの技術開発に従事する傍ら、金沢工業大学大学院工学研究科知的創造システム専攻を修了。2009年にSansan株式会社へ入社。現在はCTOとして、全社の技術戦略を指揮する。

久保田竜弥(くぼた たつや)
ZOZOテクノロジーズ 代表取締役社長/CEO
2008年にスタートトゥデイ(現ZOZO)に入社し、ZOZOTOWNのフロントエンド開発に従事。2013年4月にWEARを立ち上げ事業責任者に就任し、WEARの海外展開を経験。2017年7月より現職。現在はZOZOTOWNの中国展開に注力している。趣味は息子の野球観戦。

佐々木大輔(ささき だいすけ)
クラスメソッド 取締役 AWS事業本部本部長
北海道札幌市にてネットワーク/セキュリティエンジニアとして働いた後、2014年1月よりクラスメソッド株式会社でシニアソリューションアーキテクトとして勤務。2019年7月より取締役。Amazon Web Servicesの総合支援サービスである「クラスメソッドメンバーズ」事業及び海外ビジネスの推進に従事。

芳賀恒之(はが つねゆき)
NTTアドバンステクノロジ 取締役 人事部長
1989年に京都大学大学院修士課程を卒業後、NTT研究所に入社。ムーアの法則を支えるLSIの極微細加工技術の研究に従事。2000年に米国ローレンスバークレー国立研究所に客員研究員として赴任。その後人事など研究マネジメントを経て、2015年よりNTT先端デバイス研究所所長。2017年にNTT-ATに転籍し、2018年より現職。2019年からインドやミャンマーからの外国籍社員の採用に取り組んでいる。

田中志穂(たなか しほ)
全研本社 ダイバーシティ事業部 シニアマネジャー
2006年上智大学フランス文学科卒業後、株式会社ユナイテッドアローズに入社。その後アメリカ留学を経て、ベンチャー企業に入社し新規事業の企画立ち上げの事業部責任者を担う。世界の優秀な人材が日本で活躍するための事業をスタートしたいという想いから、2017年に全研本社株式会社に入社し、ダイバーシティ事業部にて海外提携大学の開拓やインドでの事業立ち上げに注力している。2019年のインド滞在日数は107日。

外国人採用を始めたきっかけとは?

田中:皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます。本日のパネルディスカッションのテーマは、大きく分けて三つ。一つ目が外国人採用について、二つ目が国外インド採用について、三つ目が受け入れに際しての対応についてお話をさせていただきます。それでは、早速、始めさせていただきます。まず、一つ目の外国人採用に関するお話です。皆様は数年前から外国人採用をスタートしていると思うのですが、そのきっかけをお伺いしたいと思います。では、藤倉様からお話いただけますでしょうか。

藤倉:弊社の場合、もともと日本国内に居住している外国籍の方が新卒入社するケースはあったのですが、去年あたりから新卒・中途を含めて日本以外の国と地域に住む方に対する積極的な採用活動を開始しています。まだ1年ちょっとしか経過していない状況なのですが、中途での外国人採用に関しては、既に数名のエンジニアのメンバーが入ってきており、長いメンバーですと、一年弱ぐらい弊社で活躍してくれているという状況です。

田中:ありがとうございます。では、佐々木様はいかがですか?

佐々木:弊社の場合は順番が逆ですね。我々は2016年にカナダとベルリンで海外拠点を立ち上げました。これは日本のお客様向けの運用サービスを24時間365日提供する中で、最初は東京で夜勤の体制を組んでいたのですが、「体への負担が少ないほうが良い」「海外の時差を使って日本のお客様をサポートしよう」ということで、カナダとベルリンに拠点を作りました。日本のメンバーがカナダとベルリンに移住しつつ、現地の法律や文化を知る必要があるので、現地のメンバーを雇用し、彼らと一緒に働くことが増えたという経緯です。海外で現地のメンバーを採用するのが先にあって、その後、日本国内で海外のメンバーを採用するようになりました。

田中:珍しいですね。まずは国内の外国人採用をスタートしてから海外に向かうという流れが一般的には多いイメージです。

佐々木:そうですね。海外でのビジネス実績が無いままに、いきなり海外でオフィスを立ち上げる会社自体が特殊なのかもしれません(笑)。

田中:ありがとうございます。久保田様の場合はいかがですか?

久保田:弊社もSansanさんと一緒で、中途採用に関しては、国内外問わずに採用を行っておりました。新卒採用を始めたのが3年前ですね。韓国での採用活動をご紹介いただき、まずはそこで1名を採用しています。その彼はまさにバリバリ活躍しておりまして、ちょうど今、ZOZOTOWN上で「ZOZOWEEK」という企画をやっているのですが、そのページを担当しています。是非、そのページを見ていただければと思います(笑)。

田中:気になりますね(笑)ありがとうございます。では、芳賀様はいかがですか?

芳賀:弊社が本格的にグローバルの採用を始めたのは2019年の1月からです。ご縁があって、インドやミャンマーの大学とインターンの受け入れを皮切りに採用へつなげていこうと話が進んでいって、新卒採用から始めていきました。

採用初年度における数々の苦労

田中:ありがとうございます。皆様も数年前から採用を始められていると思うのですが、1年目で採用した時の苦労話などがあれば聞かせてください。

藤倉:では、僕から話をさせていただきます。皆さん、企業ごとにそれぞれきっかけがあったと思うのですが、弊社の場合は、国内でもエンジニア採用に積極的に取り組んでおり、採用活動自体は順調ではあったのですが、「よりアクセルを踏み込みたい」と思ったのです。となると、国内だけではなく、国外にも目を向けても良いのではないかと思ったのが直接的なきっかけですね。そこで、外国人採用を会社の意思決定として承認を得るところから進める必要がありました。前提として、トップダウンで外国人採用を決定している状況ではなかったため、内包するリスクや経済的負担、そのリカバリー方法などを一つずつクリアにする過程は大変で、受け入れ体制などの設計もイチから行いました。他の企業さんの場合は、割とトップダウンでやると決めてから始めるものなのでしょうか?

久保田:弊社はそうでしたね。国内ではエンジニアがなかなか採用出来ない状況で、前代表の前澤(友作氏)から「なんとか500名体制にしよう」という要望があり、「外国人採用も視野に入れて採用に取り組もう」という風にビジョンを明確に決めていましたね。ですので、「やろう」となってからは凄くスムーズに進めることができました。

芳賀:そういう意味では、弊社もトップダウンから始まった感じですね。社長からグローバル採用をやりたいと。ITのエンジニアに関しては、国内で採用しづらくなっているという同様の状況はあると思います。NTTグループもしかりでして、全体がグローバルに舵を切って、海外拠点も増えていますし、それをサポートしていく上で、我々もグローバルになっていかなければいけないと。ただ、今までは完全にドメスティックな会社で、外国人もほとんど社内にいないという状況で、これをどう変えていくかということで去年から着手しました。その時に、「やるからには目標を掲げましょう」ということで、10年間ぐらいはグローバルをやめませんと。で、100人ぐらいに達するところまでですね、今、2000人ぐらいの会社なのですが、そのうち5パーセントが外国人になるまではこれを続けましょうと。最初はそういったポリシーで始めました。

佐々木:弊社はトップダウンではなかったです。我々の場合、私自身が会社の中で一番大きなビジネスの部門で取りまとめをさせていただいているのですが、先程のSansanさんのお話にもあったように、日本でのエンジニア採用は出来ていたものの、もっとスケールさせたいと。そのためには採用のスピードをもっと上げていかないと、と思っていた時にたまたまお声がけいただいたのが、「韓国で中途採用のイベントがあるので行ってみませんか」というお話。これまで海外のメンバーを採用したことがなかったので、「面白そうだ」という軽い気持ちで行ったら非常に優秀な人材がおりまして、そこから声をかけて日本の重要なセクションで働いていただいています。この経験を通じて、「もっと海外に目を向けたほうが良い」と思うようになりました。

田中:ありがとうございます。トップダウンだったり、そうでない形で進められていると思うのですが、実際の現場で受け入れるメンバーとの衝突だったり、またはミスコミュニケーションのようなものは起きなかったのでしょうか?

久保田:これはインドでの話なのですが、受け入れ側のメンバーが素晴らしい理解を示してくれて、「とにかく圧倒的ウェルカム感で迎えよう」という表現をしていました。彼らは単身で、友達もいない、食事も分からない、という日本をわざわざ選んでくれて、その中でZOZOを選んで来てくれています。それなら良い思い出というか、良い体験をしていただきたいという思いで、受け入れ側がものすごく頑張ってくれたので、特に衝突というものはなかったです。むしろ、現場が積極的に働きかけてくれて嬉しいという気持ちしかありませんでした。

インド人エンジニアが持つ強い情熱

田中:ちょうど今、インドの採用というキーワードが入ってきたので、次のテーマに移らせていただきたいと思います。皆様はインドでのエンジニア採用というチャレンジをされていると思うのですが、活動を始める前のインドのエンジニアのイメージというものがそれぞれあったと思います。実際、現地に行ってみて、学生やエンジニアの方々に会った時に、皆様がどういった印象を受けたのかという点をざっくばらんにお話しいただければと思います。では、芳賀様からお願いいたします。

芳賀:一般的に言われているように、非常に優秀だというのはすぐにわかりました。我々がアクセスしたのはインド工科大学のハイデラバード校(IIT-H)だったのですが、この大学は比較的田舎にあるという土地柄もあり、非常に純朴で真面目な方が多いという印象です。実際、すごく真面目に勉強していますし、色々話をしていると良く考えており、本当に優秀だと感じましたね。

田中:おととし採用イベントをされている久保田様はいかがですか?

久保田:まったく同意見です。本当に真面目で優秀というのが第一印象。それに加えて、例えば、日本の学生さんが技術力の向上を目的にしているとしたら、その先にある目的の達成というところまで考えている学生さんが多いなと感じました。

田中:ありがとうございます。佐々木様はいかがですか?

佐々木:同意ですね。弊社では、インド以外の地域からも採用をしておりまして、具体的には、韓国、ベトナム、タイにおいて採用活動を行っています。そこで正直に申し上げると、学生さんの間に大きなスキルの差があるかというと、私はそこまで感じていません。アメリカでも日本でも、ちゃんとコンピューターサイエンスを学んでいる方は、ある程度のスキルを身につけてはいます。ただ、私がインドの学生さんと実際にお話をする中で強く感じたのが、彼らの情熱やモチベーションが凄く強いことです。人生における高い目標であったり、エネルギッシュさであったり。本当に高い志を持っていて、インドの学生さんが大好きになりました。

田中:そうですね。私もかなりインドびいきでして(笑)、インドの学生が本当に可愛くて、素直で大好きです。皆様の最初のイベントや面接にも同席させていただいたのですが、インドで採用されたあの時は、英語で面接されたのですか?

佐々木:我々は英語ですね。

芳賀:私たちも英語でやりました。

藤倉:僕も英語です。

久保田:僕は田中さんにサポートいただいて(笑)、その節はありがとうございました。

田中:英語で面接をするということに抵抗感だったり、日本人としては同じ言語で話すことができなかったりという面で、不安はなかったでしょうか。

藤倉:当初はあったかと思いますが、受け入れる際のコンフリクトみたいな話もありますよね。やはりそういうことも緩和したくて、面接のプロセスにおいて、必ずその後一緒に働くであろうメンバーをきちんと巻き込んで、そのメンバーが「この人とは一緒に働きたい」と思える人を採用するという点は心掛けました。ですので、自ずからその現場のメンバーが英語でインタビューを行う必要性が生まれてくるのですが、「そもそも英語にもポジティブにトライしたい」と言っているメンバーがそういうポジションについているので、大きな問題はなかったです。不安はありますけど、お互いをフォローしたり、社内にも英語が上手なバイリンガルのメンバーがいるので、助け合いながらやりましたね。

田中:では、次は久保田様に。私が採用に同行させていただいて、現場のトップの方々と一緒に面接をやらせていただいたのですが、どうでしたか?

久保田:僕らは英語が得意ではないので、英語で面接して本当にわかるのかな? 判断できるのかな? という不安はありました。これは通訳の方のおかげでもあるのですが、インドの方々の熱意や想いの強さを口調や表情からも凄く感じたんですね。面接中に感動して泣きそうになったり、その採用が決まった時、一緒に行ったメンバー全員で号泣したりというような。英語でのコミュニケーションは不安でしたけど、やっぱり人と人との関係というか、そういう想いは変わらないということを強く実感しました。

田中:芳賀様はIITハイデラバード校で採用イベントをされたとおっしゃっていましたが、当時のエピソードなどがありましたら教えてください。

芳賀:私が参加したのは、同校で開催された日本企業を紹介する「Japan Day」ですね。その前にインターンの受け入れをやっていて、5名の方がIIT-Hから2ヶ月間いらして彼らがちょうど帰った後でのイベントでした。その学生さんたちが日本ではこうだったよ、ということを話していたものですから、実際にブースにたくさん集まっていただき、自分もインターンに行けるのかとか、行くためには何をすればいいのかとか。そういう話を時間の許す限りずっとしていた記憶があります。非常に熱心でしたね。

田中:IIT-Hといえば、藤倉様もちょうど先月頃、インターン生の面接をしていらっしゃったと思うのですが、いかがでしたか?

藤倉:まず、インドの方々にお会いした時の印象の話に戻るのですが、僕は前職がアメリカの企業で、かつての同僚には色々な国の方がいました。10年以上前のことですが、当時、同僚だったインド人のメンバーは主張が強く、技術的な細かい話で「どっちが正しいか」みたいな議論になると、建設的なディスカッションを行うことがなかなか難しいという印象でした。今回、「インドで採用しよう」と言い出したのは自分なのですが、実は半信半疑で。そもそも10年前の記憶を気にし過ぎてはいけないのですが、時代が違うということもあって、今はまったく印象が違います。学生さんは皆さんがおっしゃる通り、本当にピュアで素直ですね。優秀な学生さんの出現確率はどの国でもさほど変わらないと思いますし、日本人のエンジニアや学生さんにも凄く優秀な方はたくさんいます。ただ、あまりにも母数が違うので、出会える回数が10倍くらい違う。優秀な学生さんとの接点が圧倒的に増えたと実感しています。

田中:朝から晩まで、かなりたくさんの学生さんに会っていましたよね。では、次は佐々木様に聞いてみます。去年、採用に行っていただいたと思うのですが、おそらくインドにおける採用イベントへの参加は初めてだったかと。日本との違いなど、いかがでしたか?

佐々木:インドでの面接は英語で行ったのですが、エンジニアの採用ということもあって、技術用語や学習に対する意欲については普段から接している用語である分、英語でのコミュニケーションは取りやすく、面接自体はスムーズでした。一方、我々は日本の新卒採用にも同時に取り組んでいる中で、やはりインドの学生さんのモチベーションの高さについては感じる部分がありました。日本に比べると、インドの学生さんは「なぜこの技術を身につけたいのか」「身につけることでこうしたいんだ」という情熱が人に借りた言葉ではない自分の言葉で伝えてくれる方が多かったという印象です。それは英語でも十分に伝わってきます。これは極端な話ですが、日本の学生さんは先生から教わったような教科書通りの話をされるケースが多いので、そこはどうしても採用に影響してきますね。

田中:ありがとうございます。凄く大きく、久保田さんがうなずいていましたが、本当にそうなんですね。

久保田:日本の学生さんと話をしていると、ベクトルが自分に向いている方が多いと感じます。「こういうキャリアパスを考えています」といったことは凄く考えてくれていますが、「では、そのキャリアパスを実現できたら何をやりたいの?」と聞くと、「考えていなかったです」みたいな返答をする方が割と多くて。インドの方はそういうところではなく、最終的にやりたいことというか、「自分の目的があって、それを実現するために技術を学びたいんだ」という想いを語りますね。なので、ついこちらも熱くなるというケースが多かったです。

田中:そうですね。確かに、私もインドで面接に参加させていただき、学生の子たちが本気で社会貢献したい、世の中の役に立ちたい、このスキルを活かしたい、という夢を熱弁してくれるので、こちら側も熱くなるというのはよくわかります。

久保田:ええ。彼らは社会の役に立ちたいという話を凄く熱心に語りますよね。

田中:私自身はむしろ国内の面接にはあまり立ち会ったことはないのですが、インドのエンジニア面接では皆が当たり前のように「社会の役に立ちたい」「こういうことをやってみたい」という夢をはっきり言いますよね。あの熱い想いに対して、私は採用する立場ではないのですが、感動して泣いてしまうという。

採用決定後の準備や社内への影響

田中:では、実際の受け入れについてはどうなのかという話を聞きたいと思います。そこで、まずは外国人の方々を受け入れるという意思決定を行ってから、どういった準備をされて受け入れたのかというお話を。そのパフォーマンスであったり、社内への影響であったり。そういったことをお聞かせいただければと思うのですが、佐々木様と芳賀様はちょうど今入社を控えているところだと思います。新型コロナウイルス観戦拡大の影響でどうなるかというタイミングではありますが、インドで採用された学生さんに対して、特別にされている準備や教育などに関して、お話をお伺いできればと思います。まずは佐々木様、いかがでしょうか?

佐々木:実際に入社していただける学生さん向けのものと既存の社内向けのものとで二つあります。これから入社いただく学生さん向けとしては、日本に来て就職していただく前提なので、日本語の研修を全研さんにお願いして進めています。技術課題については我々から提供してやっていますね。後は、コミュニケーションの面では、定期的に学生さんと我々でオンライン会議を行い、日本やインドの現状のシェアであったり、受け入れ側ですと、ビザの手続きや住居など。今は新型コロナウイルス観戦拡大の影響で止まっていますが、カルチャーが異なる方を受け入れるにあたって、バックグラウンドなどを我々がしっかり学んでいないとトラブルがあったり、つらい思いをさせてしまったりするので、ダイバーシティ研修を積極的に行っています。インドをはじめ、ベトナム、タイ、ヨーロッパと、各国の風習や文化を学ぶオンライン研修を全社員向けにほぼ毎週やっています。入社後のOJTのプランニングについても、もちろん行います。

田中:今はオンラインで取り組まれていると思うのですが、特にインドと日本には3時間半の時差がありますよね。また、インドに訪れている皆様でしたら経験があるかもしれませんが、停電やインターネットが繋がらないとか、そういったことでコミュニケーションを図ることが難しい場面もあるかと思います。そういった局面で、何か困難に感じたエピソードはありますか?

佐々木:ヨーロッパであれば、スタートが日本の夕方とかになるので、それに比べればインドの時差は大したことはないと思います。それを言いますと、時差については、アメリカの方が合わせるのがちょっと大変ですね。インドの3時間程度でしたら、それほど対した問題にはならないかと思います。ただ、回線の問題はどうしてもありますね。我々の場合は、インド支社がありまして、どうしても自宅で作業ができない場合は、その拠点を使ってもらったり、言語的な不安がある場合は、日本語の流暢なインド人マネージャーに補助してもらいながらやっています。

田中:ありがとうございます。芳賀様のところは、今、どういった準備をされていますか?

芳賀:佐々木さんのお話と重複する部分が多いので、かぶらないところをお話しますね。長期的にはインターンで来ていただいた方を採用しているので、受け入れに関しては、「仕事は英語でやりましょう」と話をしています。とはいえ、日本で生活していく上での「サバイバルジャパニーズ」は必要ですので、そういう意味では、リモートで日本語の勉強をやっていただいています。受け入れる側としてみると、例えば、社内の就業規則はまだ日本語版しかないので、英語に直すなど色々な手続きをよりスムーズな形で行っていくことができる形にしていきたいですね。徐々にですが、そういった準備に今まさに取り組んでいるところです。

田中:実際にインドの学生を受け入れている久保田さんのところではどういった準備をされ、どういった流れで入社まで進んだのでしょうか。

久保田:内定を出してから入社までの間は皆さんと変わりません。会社としてサポートすることはほぼ同じですね。現場の受け入れ側の準備としては、僕らから「こうやってくれ」と言ったわけではないのですが、現場のメンバーが自主的にインド人の方の受け入れにあたり、関連書籍を買ってくるなど、自分たちの知らないインドの文化を学んでそれを皆でシェアしようと頑張ってくれました。受け入れる際の注意事項とかそういったところを事前にまとめて勉強していったというところですね。先程申し上げた「圧倒的ウェルカム感」で迎えようとしたので、メンバーの前向きな気持ちがすごく現れていた印象です。

田中:それは号令をかけたわけではなく、御社独特の文化でそういう形になったのですか?

久保田:はい。文化というと手前味噌かもしれませんが、「いい人をつくる」という弊社の経営理念があるからか、やっぱり「いい人」が多いんですね。現場のメンバーもその理念があるので、受け入れに際しても、しっかり相手を理解しようと。そういう細やかな気配りを現場自らがやってくれているところは、僕自身も凄く感動しましたし、良かったなと思います。

田中:芳賀様と佐々木様はまさにこれから受け入れをしようという状況だと思います。そこにあたっては先輩となる久保田様に何か聞きたいことはありますか?

佐々木:そうですね。もし、受け入れた後にトラブルや困ったことがあれば知りたいです。

久保田:基本的には皆が凄く楽しくやっているようで、困ったことはほとんどないですね。唯一困ったことを挙げるとしたら、とある日本語教育のことです。現場メンバーが日替わりで日本語教育をするローテーションになっていたのですが、入社するメンバーがワンピースが好きだったので、それを教科書として日本語教育しようとなりました。ただ、どうしても物語なので、「てめえ」といった乱暴な日本語が出てくるじゃないですか。そのフォローで、「『てめえ』というのはリスペクトのない表現だから言わないようにしようね」と。本人が興味のある分野を日本語教材として使うという観点は凄く良いのですが、作品は吟味したほうが良かったなと(笑)。

芳賀:久保田さんのお話に通じると思うのですが、まだ社員としては受け入れていないものの、インターンとして受け入れるということは前例がないので、最初は非常に不安がありました。ただ、実際に受け入れが始まり、上手に通じないながらも片言で喋る異文化コミュニケーションは、お互いに盛り上がりますよね。そして、日本人の社員の方も、「もう少し英語を勉強してもっと話せるようになろう」と思うきっかけになります。この意識改革はもともと少し狙っていた部分もありますが、会社の中で良い変化が起きていると思いますね。

田中:久保田様のところも社内で変化が起きていると先程お伺いしたのですが、具体的にはどういった影響が起きていますか?

久保田:文化の多様性を受け入れるというか、そういった土壌が出来ているなと思います。日本人の価値観には無い考えを持った方々が入社してくるということもあって、受け入れる現場メンバーに関しても、そういった文化があるということやそれに対するリスペクトを持ってくれていますね。多様性に関しては、皆が凄く意識するようになってきていると感じます。

田中:Sansanさんのところは、この3月にインターンシップの学生を受け入れようというタイミングでコロナ禍となりました。今、日本になかなか来れない状況だと思いますが、受け入れる前に何か準備をしようとしていたことはありますか?

藤倉:当社はもともとシンガポールに子会社があり、現地のセールスやマーケティングの人間が現地採用を行っていたので、全社向けの発信の場合は、すべて英語と日本語を併記する文化があり、同じく基本的な就業規則は統一しようという土壌がありました。後は、開発の現場としてインターンで迎えたかったのがプロダクト開発系で、1名の学生さんとR&Dの研究員の1名の学生さんだったのですが、どちらも準備という準備をしなくても進んでいます。どんなタスクをどんな風に行い、どんな成功体験を積んでもらうかというのは社内で少し細かく設定はしましたけど、それぐらいですね。文化も育ってきた環境も違いますけど、とはいえ、人は人なので、そこまで心配する必要もないかと。「違う部分は何か」ということを明確に意識して、そこに対する十分なケアがあれば、困ることはないかと思います。

田中:ここでもう一度、久保田様に振らせてください。実際、インド人の学生を受け入れて約半年経っているのですが、彼の面接で受けた印象と実際に入社した後のパフォーマンスについてはどう見えてますか?

久保田:現場では直接関わっていないので聞いた情報になるのですが、本人の真面目さもありますし、受け入れ側の体制の良さというのもあって、非常に活躍していると聞いています。弊社のレコメンド基盤だったり、パーソナライズ基盤だったり、今後のZOZOTOWNのサービスの肝となるような部分にも従事してくれていると。後は、たまに廊下で会うと、面接時と変わらないちょっとシャイな感じで「うっす」と日本語であいさつしてくれて、嬉しいですね。

田中:変に染まっていないですか(笑)? 当時は凄くピュアな学生だった印象です。

久保田:そうですね。今のところは大丈夫だと思いますけど(笑)。

田中:でも、それは適応してくれたということかもしれないですね(笑)。

久保田:仕事に関しては、当時受けた印象のままで真面目に働いてくれている印象です。

外国人採用を検討中の企業へのアドバイス

田中:もっと1時間、2時間と私個人としても、ご覧になっていただいている方々としても聞きたいと思うのですが、時間が押してまいりましたので、次が最後の質問となります。今、外国人採用をしようと思っている方々に対して、「こういった事をやったらいいよ」ですとか、御社の経験を通じて、「こういったことをアドバイスしたい」ということを、皆様一人ずつお伺いさせていただければと思います。ということで、芳賀様からお願いいたします。

芳賀:先程、停電のお話がありましたが、なかなか予定通りにはならないので、臨機応変にやらなければいけないとは思います。他には私の経験として、事前に面談リストとして15人の候補者の方々を出して現地に向かっていたら、飛行機に乗っている間に2人になりましたという情報が入り、到着してみたら、結局は当初の予定者ではない方と面談するということもありました。ですので、フレキシブルにバッファをもって、「そこそこ出来たから良いでしょう」という感覚で最初のうちは取り組む方が良いのかなと思います。

田中:では、次に久保田様お願いいたします。

久保田:やはり外国の方を受け入れるというところで、会社としても現場としても苦労はあると思います。ただ、そこで得られる経験は会社としても個人としても良い資産になると思います。実際、入社していただくと、想像以上に優秀な方が多いですし、文化の多様性を受け入れることができる体制があるのであれば、是非、チャレンジすることをおすすめします。

藤倉:まずは行ってみて、実際にお会いしていただきたいですね。実際に行ってみると、本当にピュアだということがわかると思いますし、当社は採用基準を日本と国外でまったく変えていなくて、そのカルチャーフィットみたいなところも同じ基準です。その上で、「Sansanに入りたい」と思ってくれている人を受け入れたいですし、一緒にやっていきたいです。ソフトウェア開発で言えば、世の中で使われている先端的な開発環境とかチーム開発のノウハウを彼らは皆持っていますし、基準を変えずにできると思います。あまり心配になったり懐疑的になったりせず、まずは行ってみたらわかりますよと。僕はそう思います。

田中:ありがとうございます。では、最後に佐々木様お願いいたします。

佐々木:受け入れにあたって整備しなければいけないことや教育はたくさんあり、そこは大変です。ただ、それ以上に、新しい文化圏の方々と一緒に働いて、そこから新しい刺激を得るというのはなかなか味わえない経験だと思います。日本は人手不足でもあるのですが、それよりも新しい方々と一緒に働く機会を得られるというのが一番のベネフィット。すべての会社が出来るわけではないと思いますが、一度やっていただくと、そこから新しい学びや経験が得られます。個人としては、非常にチャレンジする価値があると思いますね。

田中:皆様、ありがとうございました。そしてすみません、私からもう一つだけ質問をさせてください。今年、来年も皆様、またインドに行きたいですか?

全員:もちろんです。行きたいです!

田中:それを聞きたかっただけなのですが(笑)、ありがとうございます! それでは皆様、本日は貴重なご意見やディスカッションを聞かせていただき、誠にありがとうございました。