転職をするにあたって、「資格を持っていると有利になる」という話を聞いたことがあるのではないでしょうか。資格は専門的な知識やスキルを持っていることの証明になりますし、何より自分自身の市場価値を高めることにも繋がります。結果的に企業からも信頼されやすくなり、キャリアアップを図ることができるでしょう。しかし、一口に資格といっても、その種類・種別はさまざまです。また、「30代・40代の転職に役立つ資格」「未経験転職に役立つ資格」など、シーンごとに必要となる資格も異なりますし、資格を取得する難易度もそれぞれ異なります。この記事では、「転職に役立つ資格は一体何なのか」「どの業界にどの資格が求められているのか」など、転職と資格に関する情報をまとめました。現在、転職活動を検討している人、転職に向けて資格勉強をしている人はぜひご覧ください。

未経験転職に役立つ資格ランキング

転職で有利になる資格は、今のキャリアを活かした転職活動をするのか、それとも未経験の業界に転職するのか、で異なってきます。未経験の業界に転職する際は、即戦力をアピールできる資格が重要です。まずは未経験転職に役立つ資格を紹介していきます。

日商簿記検定

日商簿記検定とは、日本商工会議所が実施する簿記に関する試験・資格のことです。等級には1級から3級まであり、会計の仕組みや基本への習熟度を測ることができます。年間約60万人が受験しており、数ある資格の中でも社会的な信頼性が高いものと言えます。日商簿記検定を取得することができれば、企業の経理・会計スタッフ、会計事務所のスタッフなど金融関係の業種へ転職する際に有利になります。経理・会計スタッフの具体的な仕事内容としては、日常の会計業務、決算業務、財務分野の業務などがあります。合格基準は2級・3級ともに、100点満点のうち70点以上とれば合格です。また、1級は4科目（各科目25点で100点満点）のうち70点以上で合格となりますが、「足きり制度」といって、4科目のうち10点に満たない科目が1科目でもある場合は、合計点が70点以上でも不合格となるので注意が必要です。2級以上であれば転職する際に強みとして使えるでしょう。なお、2021年11月の試験では1級の合格率が10.2％、2級が30.6％、3級が27.1％となっています。

宅地建物取引士

“宅建”という名称で知られている宅地建物取引士は、不動産の売買や賃貸の仲介に必要な資格です。この資格を取得することで、土地や建物の売買、斡旋、詳細な説明ができるようになります。宅建業を営む会社では、事業所ごとに従業員5名に対して1名の割合で有資格者が必要となるため、企業からのニーズも高い資格と言えるでしょう。過去10年間の宅建の合格率は約15～18％（令和3年度10月試験は17.9％、12月試験は15.6%）で、毎年の合格者数は約3万～4万人（令和3年度10月試験は37,579人、12月試験は3,892人）となっています。年齢・性別・学歴などの制約がなく誰でも受験することができ、資格手当を支給する企業もあります。

ファイナンシャルプランナー（FP）

日商簿記検定や宅建と並んで、人気の高い資格がファイナンシャルプランナーです。この資格はお金に関する知識を証明するものです。税制・不動産・保険・相続・年金などお金に関する幅広い知識を身につけることができます。そのため、金融関連での転職では有利に働くことが多いでしょう。資格を活かした主な仕事としては、資産運用、保険、投資のほか、金融商品販売のアドバイザー業務などがあります。また、ファイナンシャルプランナーの資格には国家技能検定資格（FP技能士）と民間資格があります。FP技能士は1級〜3級までの等級があり、3級は誰でも受験することが可能です。ただし、2級の受験資格は3級技能検定合格者、もしくはファイナンシャルプランナーとしての実務を2年以上経験した人だけが受験できます。1級の受験資格はファイナンシャルプランナー2級の合格者でファイナンシャルプランナー業務に関して1年以上の実務経験を要する者、または5年以上の実務経験がある人だけとされています。2022年1月の試験では、学科の合格率が62.52%、実技の合格率が45.98%となっています。合格率を見ると、そこまで難しい資格とも言えないのでオススメの資格です。

介護職員初任者

人手不足が深刻化しており、求人のニーズが高まっているのが介護業界です。そんな介護業界に転職する際、取得しておくと良い資格が介護職員初任者研修です。介護職員初任者研修は、在宅や施設を問わず、介護職として働く上で基本となる知識や技術を習得する研修です。約3カ月の研修を経験することで資格を取得でき、また資格の取得も早いため、介護業界への転職を考えている人にはオススメの資格と言えます。資格を取得しておくと、訪問介護サービス・グループホーム・デイケアセンター・通所介護関連施設、高齢者サービス付き住宅、ケア付きマンション、有料老人ホームなどへの転職の際に有利になるでしょう。ただし、あくまでも介護職員初任者は初歩的なもの。この資格の取得をきっかけに、次は介護福祉士などの資格を取得してキャリアアップを目指していくのが好ましいです。講習修了で資格認定されるため取得難度は優しく、受講資格の制限はありません。資格取得にかかる時間は通学講座で約1カ月、通信講座で約3カ月程度のものがほとんどです。

MOS

MOSはマイクロソフト・オフィス・スペシャリストを略した言葉。Word、Excel、PowerPoint、Access、Outlookなど、米マイクロソフト社が提供するソフトウェアの利用技術を証明するための資格です。事務関連の仕事をする際の汎用的なスキルを取得できます。IT系の企業に限らず、Word、Excel、PowerPointといったソフトウェアはどの企業、どの職種においても使用頻度が高く、特に事務職では仕事を進める際の基本ソフトになります。Word・Excel・Access・PowerPoint・Outlookの5種類のソフトから科目ごとに受験することもできるので、自分に必要だと思うソフトの資格を取得すると良いでしょう。1科目あたりの受験料金は1万780円、2科目になると2万1560円（それぞれ税込）となっています。

TOEIC

きっと誰もが一度は名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。世界約160か国・約14,000の企業で利用されている英語能力テスト「TOEIC」も人気の資格です。TOEICは英語のコミュニケーション能力や知識を判断するための世界基準の試験です。外資系や海外との連携が多い業界・職種はもちろんのこと、グローバル化が進んでいる現代においてはどの業界に転職するにしても持っていて損がない資格と言えるでしょう。試験の内容はリスニングとリーディングとなっており、合格点はなく10〜999点のスコアで評価します。試験を受けた結果が証明書として使用できます。990点満点中、600～700点以上から履歴書に記載するのが一般的となっているので、英語力をアピールするのであれば最低でも600点以上を目指していくのが好ましいでしょう。

診療報酬請求事務能力認定試験

病院の受付や会計、レセプト（診療報酬明細書）作成業務を担当する医療事務の仕事をする際、診療報酬請求事務認定試験の資格を持っておくと良いでしょう。具体的な試験内容は、診療報酬請求事務と、その他会計・オペレーター業務などに関することが問われ、医療費などの計算をする実技試験もあります。科目は医科と歯科に分かれており、それぞれの科目の合格率は約30％ほどです。医療事務の仕事をするにあたって、取得が必須の資格ではありませんが、資格を持っておくと医療費・診療報酬の計算や早い処理能力を証明することができるでしょう。

年代別｜転職に有利な資格ランキング

終身雇用も過去のものとなり、働き方も多様化が進んでいる昨今。複数回の転職も今や当たり前のものとなっています。キャリアパスは会社から与えられるものではなく、個人が自ら描くものになってきている時代において、自らが望むキャリアを実現するためには、転職の際に有利になる資格を取得しておくのもひとつの手です。ただし、転職で有利になる資格は年代ごとに異なります。ここからは、年代別に転職の際に有利になる資格として人気のものを紹介していきます。

20代転職におすすめの資格

20代はまだまだポテンシャルが高く、企業側も第二新卒として受け入れてくれる可能性が高い年代です。ただし、あなたと同じように第二新卒で活動している人も多くいるため、同じようにポテンシャルだけをアピールしてくる場合もあるでしょう。採用担当者からすれば、同じような人たちが採用候補者になると、どの人を採用すべきか判断がつきにくくなってしまいます。そこで差別化を図る際に役立つのが資格です。資格を取得しているといった実績を示すことで、その業界に必要な知識・スキルを持っていることを示すことができます。結果的に企業からの評価も高くなるでしょう。また、キャリアも長く続いていくことから、長く安定して働き続けるために役立つ資格を取得しておくのがオススメです。それらを紹介していきます。

ITパスポート

ITパスポートは、IT系の知識が必要な業種に転職を考えている人たち全般に向けた資格です。この資格を持っていたら、「基本的なIT技術については知っている」と証明することができます。DX（デジタル・トランスフォーメーション）といった言葉がよく聞かれるように、ここ数年であらゆる産業がデジタル化していっています。会社の事業にデジタル技術を取り入れることが当たり前になってきているからこそ、今後IT技術に関する知識を持っておくことは重要になってきます。そういった点も踏まえても、20代のうちにITパスポートの資格は取っておいて損はないでしょう。また、MOSとの違いについてですが、MOSはマイクロソフト社が認定する民間資格ですが、ITパスポートは国家資格です。MOSは、Word・Excel・PowerPointなどを使いこなすスキルを証明する資格で、実技試験があります。一方、ITパスポート試験は4肢択一式による試験で、ITに関する知識が求められます。試験時間は120分。合格率は約50%ほどとなっています。合格率などを見てみると、そこまで難易度が高くない資格であることがわかると思います。

基本情報技術者試験

テクノロジーの普及とともに、需要が高まっている職種がプログラマーやシステムエンジニアです。この職種への転職を考えているのであれば、基本情報技術者試験の資格は取っておくと良いでしょう。転職が有利に進む可能性が高まります。基本情報技術者試験は、システムをつくる能力を確認するIT技術者向けの資格です。「IT技術者への登竜門」と言われることもあります。試験では、アルゴリズムやデータの扱いなどシステム開発の基礎となる知識を問われます。試験時間は午前と午後で各150分。1日で計5時間に及ぶ試験時間の長い資格です。また、合格に必要な学習時間は、初心者で200時間程度と言われています。ITパスポートと比較すると、少々難易度が高い資格と言えます。企業の中には、入社して2年以内に基本情報技術者試験に合格することを目標としているところもあるくらいなので、転職の際に基本情報技術者試験を持っておくと非常に有利になるでしょう。

ウェブ解析士

今や当たり前のようにインターネットでウェブサイトなどを見る時代。このウェブサイトですが、ただ開設しただけでは見られるようになりません。サイトに流入してくるキーワードや閲覧時間、閲覧ページ数などの情報を収集し、どのような施策を打てばアクセス数を増やすことができるか、を考えることが重要になります。ウェブ解析士は、データを正しく読み取り、サイトの内容を改善してアクセスアップに繋げるための技術者の育成を目的とした民間資格です。ウェブ解析士（初級）、上級ウェブ解析士、ウェブ解析士マスターと3段階に分かれており、合格率70％ほどとそこまで難易度は高くありません。コロナ禍でネットビジネスに重きを置き始めた企業も増えてきているので、この資格はどの業界でも重宝されるスキルと言えるでしょう。

TOEIC

グローバル化が進んでいる昨今。ユニクロを展開するファーストリテイリング、楽天市場を展開する楽天が社内の公用語を英語にしているのは有名な話ですが、英語を重視する企業は増えつつあります。日本でTOEIC Programを実施・運営する国際ビジネスコミュニケーション協会（IIBC）が実施した「企業・団体における英語教育・英語活用の実態調査とビジネスパーソンの職場での英語に対する意識についての調査」の結果、回答企業の82.6%が今後のビジネスパーソンにとって重要な知識・スキルとして「英語」を挙げています。また、TOEICのスコアが高い人ほど年収が高いというデータもあります。20代のうちから英語を勉強し、TOIECのスコアを上げておくと有利に転職などを進められるでしょう。

日商簿記検定

経理業務に役に立つというイメージの強い日商簿記検定ですが、この資格は最低限の会計知識、財務諸表に書いてあることの意味を理解する力の証明にもなります。ビジネスパーソンとして、会計知識や財務諸表の情報を読み解く力は重要です。新聞の経済面などでも基本的な会計用語はよく出てきます。そうした言葉を理解しておけば、営業であればアイスブレイクの雑談に役立てることができるでしょう。また、20代を管理部門以外の職種で仕事をしてきて、30歳前後で管理部門に行きたい、コンサルティング業界に転職したい、と考える人は多くいます。そうなったときに、日商簿記検定の資格を持っておくと転職をスムーズに進めていけます。そういった意味でも20代のうちに日商簿記検定を取得しておいて損はないと言えるでしょう。

普通自動車第一種運転免許

普通自動車第一種運転免許は、自動車に乗って外回りをする営業職に就職する際、持っておかなければいけない資格です。合宿などに通えば、最短で2週間ほど取得することができます。時間に余裕のある20代のうちに取っておくのが、オススメです。

30代転職におすすめの資格

20代の転職はポテンシャルが評価される傾向にありますが、30代となると話は別です。20代とは異なり、企業は”即戦力”の人材を採用しようとします。ですから、転職をする際は即戦力となることを証明できるような資格を取得しておくことがオススメです。

中小企業診断士

中小企業診断士とは、経営コンサルタントとしての唯一の国家資格です。企業をさまざまな角度から診断し、適切なアドバイスができる人を認定する資格で、最近では、日本版のMBA（経営学修士）とも言われています。マネジメントスキルを身につけてキャリアアップしたい人たちの間で人気の資格となっています。中小企業診断士の資格を取得すると、経営全体を幅広く診断し、解決策を立案できる能力が身につきます。厳しい経営環境の中、企業は専門知識だけでなくさまざまな経営課題を解決してくれる人材を求めている傾向になります。中小企業診断士は、このような企業のニーズにマッチするため、様々なビジネスシーンでの活躍が期待されています。企業の中でキャリアアップしたい人や、よりマネジメント的な仕事にキャリアチェンジしたい人に有効な資格といえるでしょう。中小企業診断士の試験は、選択式の第1次試験に合格後、筆記式の第2次試験を受験します。1次、2次試験ともに、全科目の平均が60点以上かつ40点未満の科目が無ければ合格になります。2次は筆記試験で合格すると、口述試験（面接）があります。近年ほぼ全員が合格しています。最終試験である口述試験に合格後、実務補習を修了して初めて中小企業診断士として正式に登録されます。合格率は約4〜5%とハードルの高い資格ではありますが、取得してすれば自分が即戦力人材として活躍できる証明にもなるでしょう。

社会保険労務士

社会保険労務士は、労務管理や社会保険に関するエキスパートであることを証明する資格です。企業の成長において重要な要素となる「物・お金・人」の中で、「人」に関する業務を行います。仕事内容は大きく分けて「1号業務」「2号業務」「3号業務」の3つがあります。1号業務とは、労働保険や社会保険の手続きに必要な書類の作成や提出を行います。2号業務は、就業規則や労働者名簿、賃金台帳といった帳簿書類作成を行います。1号業務と2号業務のような書類作成や提出の代行業務は「独占業務」とされており、社労士の資格を持っている人しか行うことができません。また、3号業務は、労務管理や社会保険などの相談を行う、コンサルティング業務にあたります。企業では賃金や評価制度において企業と労働者間で問題が発生することもあります。そのような問題を解決に導くのも社労士の役割です。日本は「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指すものです。この働き方改革を推進していくにあたって、専門知識を有する社会保険労務士の活躍が求められています。社労士試験の受験者数は毎年4万人前後となっており、合格率は約5%〜約9%になります。中小企業診断士と同様に取得のハードルが高い資格となっています。

行政書士

行政書士は、主に行政への許認可申請が必要となる場合に提出する書類の作成、官公署に届ける書類に関する相談業務などを行う法律の専門家であることを証明する資格です。同じように、法律の専門家とされる士業には、税理士や社労士、司法書士などがあります。そのなかでも行政書士はほかの士業と比較して、業務範囲が幅広い点が大きな特徴です。行政書士の主な仕事内容は、官公署に提出する書類を作成することです。作成する書類は、官公署に提出する書類のほかにも、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類の3つがあります。それぞれ説明していきます。「官公署に提出する書類」とは、たとえば、建設業を始める場合に提出する「建設業許可申請書」などです。「権利義務に関する書類」には、消費賃借契約書、貸貸借契約書、請負契約書などの契約書類、遺産分割協議書、内容証明や嘆願書などがあります。主に権利の発生を主張したり、権利を消滅させたりする際に作成する書類です。「事実証明に関する書類」には、実地調査に基づく各種図面類、取締役会議事録などが該当します。行政書士が行う手続き代理業務は、書類作成業務のほか、官公署に提出する書類の提出などです。また、権利義務や事実証明に関する書類に関しては、代理人として作成できるケースもあります。代理人として書類の作成を行う場合は、代理人であることがわかるように行政書士の名前を書類に記載する必要があります。ただし、行政書士が代理人として行うことができる業務は、書類の作成と提出のみです。また、行政書士の仕事内容として相談業務もあります。相談業務は、手続き代理業務と同じように、書類作成業務とセットで行われることが一般的です。たとえば、株式会社をつくりたいがどうしたらいいのか、事業を開始する際の許認可取得はどうすればいいのか、といった相談です。依頼者からの相談に乗ることも、業務のひとつなのです。行政書士は就・転職で有利になる国家資格です。合格率も低いことから合格することは簡単ではありませんが、「専門試験を突破するだけの学力と意思がある」「法律の知識がある」という評価が得られます。会社法や商法の知識もあるため、入職後は法務部や総務部などで即戦力として活躍することができるでしょう。

衛生管理者

衛生管理者は、労働者の健康を守るため、衛生教育や職場の環境管理などを行う国家資格です。常時50人以上の労働者が働く事業場では、必ず1人以上の衛生管理者を置くよう法律で定められているため、企業からの需要も高くなっています。衛生管理者の主な役割は、就労中の労働災害や、労働者の健康障がいを防止すること。事業場の衛生管理や労働者の健康管理はもちろん、労働者への衛生教育や衛生委員会の運営も、衛生管理者の仕事となっています。衛生管理者の資格には、第一種衛生管理者と第二種衛生管理者の2種類が存在します。第一種衛生管理者は、有害業務を含む業種でも衛生管理者として働ける資格です。 具体的には電気業やガス業、水道業、熱供給業などのライフラインに関する業種や、医療業、清掃業、運送業などが有害業務を含む業種として挙げられます。有害業務を含む業種では、労働災害や健康被害が発生する確率が高く、衛生管理者が必要とする知識も多くなるため、第一種衛生管理者は業種ごとの働き方や専門知識を身につけたうえで、衛生管理を行います。第二種衛生管理者は、有害業務とは関連の少ない業種に限り、衛生管理者の業務に就くことができる資格です。対象となる業種として、金融業や保険業、卸売業、情報通信業など、営業やデスクワークが主体となる業種が挙げられます。有害業務を含む業種と比較すれば、命に関わるような健康被害は起こりにくいものの、社会問題となっている従業員のメンタルヘルスの問題には十分注意する必要があるでしょう。

キャリアコンサルタント

キャリアコンサルタントは、キャリアに関する課題や問題を相談者が自主的に解決できるように、カウンセリングを中心とした専門知識とスキルにより、支援を行う国家資格です。よりよい働き方、よりよい人生、よりよい社会を実現するために、人間の生き方を「仕事に対する意欲や課題」「これまでの経験」「将来への展望」といった「キャリア」の視点から捉えるキャリアコンサルタントは、社会のさまざまな場所で活躍しています。働き方の多様化が進む現代において、キャリアコンサルタントのニーズは高まっています。企業の採用・人材育成・組織開発の現場で、就職・転職支援の現場で、就活支援・キャリア教育の現場で、キャリアコンサルタントの専門的なスキルが求められています。また、事業会社の人事のほか、大学や高校といった教育機関にも活躍の場があるでしょう。

ビジネスマネジャー検定試験

ビジネスマネジャー検定試験は、マネジャーとして活躍が期待されるビジネスパーソンに対し、その土台づくりのサポートを目的とし、「あらゆるマネジャーが共通して身につけておくべき重要な基礎知識」を効率的に習得する機会を提供する、というものです。2015年から、東京商工会議所が実施している検定試験です。管理職（マネジャー）は、企業と社員の結節点として、“経営ビジョンの浸透”や“事業戦略の策定・遂行”、“チームのモチベーションの向上”、“人材育成”などの多様かつ重要な役割を担っています。まさに企業の浮沈の鍵を握る要の存在です。しかし、経営環境が絶え間なく変化する中、課題ごとにゼロから理論や手法を学び始めるマネジメントでは対応が遅れ、取り残されてしまうでしょう。マネジメントの成果（＝アウトプット）を出し続けるためには、知識・理論の習得（＝インプット）が不可欠です。ビジネスマネジャー検定試験では、「チームとして成果を出す」というマネージャーのミッションを果たすために必要な知識を大きく3つのカテゴリーに大別し、多岐にわたる実践的な知識を体系立てて学習できるよう、分かりやすく整理しています。カテゴリーは、コミュニケーションや人材育成、チームビルディングなどを学ぶ「人と組織のマネジメント」、事業管理や課題に応じた戦略の立案などを学ぶ「業務のマネジメント」、リスク管理やコンプライアンス、メンタルヘルスやハラスメントの職場管理を学ぶ「リスクのマネジメント」があり、ビジネスの実践の場で必要不可欠な知識や情報を網羅的に学ぶことができます。

40代転職におすすめの資格

年齢を重ねるごとにキャリアの悩みは深くなっていき、転職の難易度もあがっていきます。40代では、実用的で使える資格を取得しておくことが重要になります。40代転職のシーンで有利になる実用的な資格を紹介していきます。

マンション管理士

建物の経年劣化や居住者の高齢化などにともない、管理人が必要であることが法的に定められました。マンション管理士」はマンションを適切に管理するために生まれた比較的新しい国家資格です。マンションの維持・管理のためのアドバイスなどをするコンサルタントといった位置づけになります。管理組合の運営・大規模修繕の計画立案などが主な仕事で、30〜40代に人気のある資格となっています。ハローワークの職業訓練でも取得対象となっており、一定時間勉強すれば取れるのも魅力です。マンション管理士の資格を取得する難易度は、宅建より少し高いくらいです。宅建は400時間程度、マンション管理士は500時間程度の勉強が必要と言われています。行政書士や社労士などは、600時間以上の勉強が必要になるといわれており、マンション管理士の方が、難易度は低いです。合格率は、直近5年間は7〜9%台となっています。

電気工事士

電気工事士は、電気設備の工事・取扱いの際に必要な国家資格です。第一種・第二種に分類されており、第二種が扱える範囲は「一般住宅」「小規模な店舗・事業所等」「家庭用太陽発電設備」など600V以下で受電する設備、第一種は第二種の範囲に加え、最大電力500キロワット未満の工場、ビルなどになります。試験には筆記試験と技能試験があり、両方に合格することで、電気工事士資格を取得することができます。電気工事は、資格がなければ電気工事を行うことができないという性質上、電気工事分野の専門家として活躍することができ、手に職を身につけることができます。求人も多く、定年もないため経験を積めば積むほど技術が精錬され、一生の仕事にすることができるでしょう。また、電気工事士のニーズは高く、求人も一年中あります。また特に電気工事会社、建設会社、ビル管理・メンテナンス会社では、部署によって必須資格です。就職時に持っていると有利ですし、転職にも役立てることができます。近年、増加傾向にあるオール電化住宅や太陽光発電設備など、家庭での電気需要に対し、まだ電気工事士は少ないという現状があります。そうして点も踏まえても、電気工事士の資格は取得しておいて損はないでしょう。

普通自動車二種免許

普通自動一種免許を取得している人は多いと思います。普通自動二種免許があれば、タクシー運転手など、人を車に乗せてサービスを提供する仕事をすることが可能です。第一種免許を取得してから3年以上経過していないと取ることができませんが、それさえクリアしてしまえば難易度もさほど高くなく、人気の資格と言えるでしょう。

警備業務検定

警備業務検定は、警備業務に関して一定以上の知識および技能を保有していることを公的に認定する資格です。現場によってはこの資格を持っていないと、警備員として就業できない場合があります。より難易度の高い警備業務に臨むのであれば、取得するのがおすすめです。警備業務検定は全部で6種類あり、それぞれ1級と2級があります。現場や仕事内容によって、必要とされる業務検定の種類は異なります。施設警備業務検定、交通誘導警備業務検定、雑踏警備業務検定が案件として多くなっています。1級を受験するためには、2級を取得してから1年以上、その資格を必要とする現場で働いた実績が必要です。検定の受験方法には直接検定と特別講習があります。直接検定は都道府県の公安委員会が実施する検定試験を受験する方法です。難易度が高く合格者は全体の2〜4割程度。特別講習は警備人材育成センターが実施する資格取得を支援する講習会です。これを受験することで、公安委員会が実施する直接検定を実施しなくても検定の合格認定を受けることができます。講習内で実施される実技試験と筆記試験に合格する必要があります。特別講習を受講すれば7〜9割程度が合格します。

状況別｜転職に有利な資格ランキング

ここまで、未経験・年齢別におすすめの資格を紹介してきました。最後に状況別として、女性の転職、文系の転職におすすめの資格を紹介したいと思います。

女性転職におすすめの資格

秘書検定

スケジュール管理や簡単な文書作成などのスキルに加え、接客や言葉遣いといったマナー面のスキルもアピールできる資格が秘書検定です。秘書という名前こそついていますが、社会人として持っておきたいマナーや事務スキルを幅広く身に付けられるため、どんな職種でも役立てることができるでしょう。1級、準1級、2級、3級の４つのレベルに分けられており、すべての級において、筆記試験が行われます。また、準1級より上のレベルではロールプレイングを行う面接試験が入るなど、知識だけでなく、実際にきちんと立ち振る舞うことができるかについても問われる検定です。3級から履歴書に記載することができますが、就職の際に有利に働くのは2級からとされています。準1級を取得すればさらに有利になると言われています。準1級からは試験内容に面接が加わります。

登録販売者

登録販売者は、一般用医薬品の販売・カウンセリングを行うための専門の資格で、2009年の改正薬事法によって新たに制定されました。ドラッグストアやスーパー、コンビニエンスストアなどでは、薬剤師がいなくても、登録販売者が常駐していれば一般用医薬品のほとんどを取り扱うことができるため、薬剤師に次ぐ医薬品のプロフェッショナルとしてのニーズが高まっている資格です。登録販売者は医薬品を扱う販売店に常駐し、「第2類医薬品」「第３類医薬品」などの一般用医薬品を販売します。また、医薬品を販売する際には、購入する方へ薬に関する使用方法の説明やアドバイスなども仕事内容に含まれるため、医薬品に関する幅広い知識が必要となってきます。

医療事務

医療事務は女性に人気の職種で、長く働ける仕事と言えます。医療事務は資格がなくても就くことができます。また資格があるからと確実に就職・転職できる保証があるわけではないことから、医療事務の資格に意味ないという意見もよく耳にします。資格なし・未経験で医療事務になるのはなかなか難しいです。医療事務業界は有資格者も多く、有利に就職・転職活動を進めていくには資格が武器になります。書類審査がある場合は書類上の内容でしか評価されないため、より一層資格が有利になります。また資格保有を応募条件とする医療機関も存在するため、資格があることで就職先の選択肢も広がるでしょう。医療機関によっては、資格に応じて手当が支給されるので、医療事務の資格を取得しておくと転職の際に有利に働くでしょう。

文系転職におすすめの資格

ITパスポート

デジタル化が急速に進んでいる現代において、理系に限らず文系の人にとっても最低限のITリテラシーは身につけておくべきでしょう。その証明となる資格としてITパスポートがあります。ITパスポートは、アベノミクスの成長戦略において「新たなITパスポート試験の受験者数を2023年度までに50万人とする」と、2019年6月に閣議決定されています。またITパスポートには、ビジネス全般の基礎が凝縮されており、業務を効率的・効果的に推進するための知識が学べます。そうした点からも、文系が転職する際にまず取得するべき資格として、ITパスポートがおすすめと言えます。

MBA

MBAは、経営学修士（Master of Business Administration）の頭文字をとった言葉。ハーバード大学経営大学院（ハーバードビジネススクール）のカリキュラムが、MBAの基礎となっているとされ、欧米で活躍する多くのビジネスエリートが取得する人気の学位です。MBAは国家資格や検定ではなく、「学位」です。現役の大学生がストレートで進学して取得する場合もありますが、社会人経験のある人が取得するケースが多くなっています。MBAでは経営全般の専門的な知識を学びます。

MBAを取得することで、自身の「市場価値」が高まり、キャリアアップや収入アップが期待できるというメリットもあります。MBAは業種にとらわれない「ビジネス全般」に応用できる内容を学ぶため、未経験の業種に転職する際にも役立つでしょう。

日商簿記検定

最低限の会計知識、財務諸表に書いてあることの意味を理解する力の証明にもなる日商簿記検定は、どんな仕事をするときでも重要になります。数字に対する感度を上げておくことで、ビジネスマンとしての価値を高めることができるでしょう。文系の人がまず取得しておくべき資格として、日商簿記検定は非常におすすめです。

MOS

パソコンスキルは文系出身者が従事する職種でも必須です。事務はもちろんのこと、営業や接客サービスでもパソコンを使用する場面は多々あります。一定のパソコンスキルを有していることの証明として、MOSを取得しておくことがおすすめです。転職の際のアピール材料になってくれるはず。

【最新版】おすすめの転職エージェント

おすすめの転職エージェント（最新版）を整理します。

リクルートエージェント

国内有数の転職エージェントとして知られるリクルートエージェントは、業界トップクラスの求人数を誇ることで知られています。過去45万人以上の転職成功実績をもとに、プロのキャリアアドバイザーが履歴書／職務経歴書などの書類添削や面接対策まで徹底対策してくれます。国内最大級の転職エージェントということもあって、拠点の数も多いので、地方在住の方でも安心して利用することができます。

dodaエージェント

パーソルキャリア（旧：インテリジェンス）が手掛ける「dodaエージェント」は、「リクルートエージェント」や「マイナビエージェント」と並んで国内最大級の転職エージェントとして知られています。約10万件の求人情報から求職者の希望にマッチした求人をプロのキャリアアドバイザーが紹介してくれます。「何から始めれば良いかわからない」「自分の強みがわからない」といった悩みがある場合は、登録してみると良いでしょう。

マイナビエージェント

マイナビエージェントは「20代に信頼されている転職エージェントNo.1」の実績とマイナビグループが誇る豊かな求人情報を強みとする転職エージェント。マイナビエージェント経由でしか応募することができない独占求人の数も多いので、一度、登録してみると良いでしょう。

パソナキャリア

パソナキャリアは、業界トップクラスの求人数を誇る転職エージェント。運営は株式会社パソナ（東証一部上場）。オリコン顧客満足度調査第1位に選出されている。求人件数は5万件以上。転職後の年収アップ率は67.1%を誇る。高い専門性を備えた専任の転職エージェントによる転職サポートが魅力。

【最新版】おすすめの転職サイト

おすすめの転職サイト（最新版）を整理します。

リクルートダイレクトスカウト（旧：キャリアカーバー）

リクルートダイレクトスカウト（旧：キャリアカーバー）は、人材業界最大手の株式会社リクルートが運営するハイクラス・エグゼクティブ限定の会員制転職サイト。ハイクラス・エグゼクティブ人材向けに、厳選した優良なヘッドハンターだけがサービスに登録していることが特徴。会員登録完了後はスカウトを待つだけでOK。担当コンサルタントは自分で選ぶことができる。

ビズリーチ

ビズリーチは、管理職や専門職、次世代リーダーなどの即戦力・ハイクラス人材に特化した国内最大級のハイクラス転職サイト。運営元はビジョナル株式会社。高年収の求人が豊富に用意されていることに加えて、優良企業や一流ヘッドハンターからビズリーチを通じてスカウトを受け取ることで、思いもよらない企業やポジションに出会えることが大きな特徴の一つである。

JACリクルートメント

JACリクルートメントは、管理・専門職、ミドル・ハイクラスのための転職エージェント。運営は株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント（東証一部上場）。約800名のプロフェッショナルが転職をサポート。また、国内大手、外資系、海外進出企業などの厳選求人を多数揃えていることが特徴である。

アサイン

アサインは、コンサルティングファームをはじめとして、経営企画や事業開発、営業職などのハイエンド向け転職支援サービスを展開している。運営は株式会社アサイン。確かな実績をもつキャリアアドバイザーと日本初のAIキャリアシミュレーション「VIEW」で求職者のキャリアを徹底サポートしてくれる。特に20代～30代のハイエンド転職に強い。

doda X（旧：iX転職）

doda Xは、パーソルキャリア株式会社が運営するハイクラス向けの転職サイト。年収1,000万円以上の非公開求人を多数取り扱っていることが特徴の一つ。厳選されたヘッドハンターがキャリアの選択肢を適切に提案してくれる。また、「クラウドキャリアコーチ」を活用すれば、第三者との対話を通じてキャリアに関する悩みを解消することができる。

AMBI

AMBIは、株式会社エンジャパンが運営する若手ハイクラス人材向けの転職サイト。年収500万円以上の案件が多数。職務経歴書を元にした三段階評価によって、選考通過の可能性がわかることが大きな特徴。登録しておけば職務経歴書を見た企業やヘッドハンターからスカウトを受け取ることができる。

最後に

いかがでしたでしょうか？ 今回は「転職に役立つ資格は一体何なのか」「どの業界にはどの資格が求められているのか」など、転職と資格に関する情報を紹介しました。資格を持っていると転職で有利になる場面もありますが、むやみに取得しても意味がありません。大事なのは転職の目的にあった資格を取得することです。自分がどういった業界・業種に転職したいのか。きちんとキャリアプランをイメージしてから、必要そうな資格の勉強を始めていき、取得するのが好ましいでしょう。

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