【書評】『ビジネス現場で即効で使える 非ネイティブエリート最強英語フレーズ550(著:岡田兵吾氏)』

本書『ビジネス現場で即効で使える 非ネイティブエリート最強英語フレーズ550(ダイヤモンド社)』は、マイクロソフト社のシンガポール拠点にてアジア太平洋地区ライセンスコンプライアンス本部長を務める岡田兵吾氏(以下、岡田さん)による非ネイティブ向けの英語学習指南本です。私自身、幼少期にシンガポールに在住していた経験があり、シンガポールには普段から親しくさせて頂いている知人が何人かいらっしゃるのですが、その中の一人で、同時通訳者として活躍されている方からご紹介頂いたことで、数年前に岡田さんと知り合うことができました。初対面は品川駅付近の定食屋だった記憶があります。岡田さんはそのご経歴を見ても明らかなように、世界有数の多国籍企業で数多くの実績を残されてきた傑出したビジネスエリートです。マイクロソフト社における多忙な業務の傍ら、ダイヤモンド・オンラインで「STAY GOLD!リーゼントマネジャー岡田兵吾の「シンガポール浪花節日記」」という連載を持たれていたり、過去にも『すべての仕事を3分で終わらせる――外資系リーゼントマネジャーの仕事圧縮術(ダイヤモンド社)』という書籍を2018年2月に出版されています。こちらは仕事術全般に関する内容をテーマとした書籍でしたが、今回、新たに発売となる『ビジネス現場で即効で使える 非ネイティブエリート最強英語フレーズ550』は非ネイティブ向けの英語学習に特化した内容となっています。

なぜ本書を読むべきなのか

「日本語と違って、英語には『敬語』という概念が存在しない」「英語は日本語と比べてカジュアルでフランクな言語である」と言われることがあります。しかし、本書を読めば、ビジネスの現場で英語を活用したコミュニケーションを図る場合、表現の丁寧さのレベルを状況に応じて使い分けることの重要性を理解することができるでしょう。意外に思われるかもしれませんが、グローバルで活躍するビジネスパーソンは想像以上に丁寧な表現を用いたコミュニケーションを心掛けているようです。詳しくは本書を実際に手に取ってみてもらえればと思いますが、日本語でのコミュニケーションと同様、デキるビジネスパーソンほど「相手に敬意を示す表現の仕方」を重視しており、その認識を深めてくれるのが本書の価値の一つかと思います。以下、本書から一部引用させて頂きます。

今まで英語圏の中で生きてきて実感していることが、ビジネス英語では「敬語」と「気遣い」が、2つの大黒柱になっているということです

外国人たちと仕事をして実感するのは、英語にも日本語と変わらず、たくさんの敬語・丁寧語があるということです。グローバルな環境で働くうえで敬語や丁寧語をうまく使いこなせないのは死活問題です。日本は縦社会で、年齢・役職、相手の立場が自分よりも上か下かによって適切な敬語や丁寧語を使い分けます。しかし、グローバル社会では、皆が平等という前提でお互いに敬意を払い合うのです

外国人たちは、私たちが思う以上に相手への接し方に気をつけていますが、特に仕事ができる人ほど、英語を使いこなしています、しかもTPOに応じて、臨機応変に言葉遣いや表現を巧みに操っているのです。仕事では、いかにまわりの人たちを巻き込めるかが重要となってきます。それを意識して、英語での話し方やコミュニケーションを変えていくことが大切です

また、世界有数のエクセレントカンパニーとして知られるマイクロソフト社で活躍する岡田さんが厳選した「本当に役立つ550個の英語表現」が収録されている点も本書の魅力の一つです。グローバルの最前線で活躍する非ネイティブエリートが実際にどのような言葉の使い方をしているのかを垣間見ることができます。私自身、海外勤務の経験はありませんが、日本語ベースのコミュニケーションでも「ちょっとした言い方の違い」や「前置き表現の有無」でコミュニケーションの質が大きく変わることは日々の業務でも痛感するところです。この点について、本書においては、岡田さんのマイクロソフト社における実体験に基づいた臨場感たっぷりのエピソード付きの解説が散りばめられています。特に印象的だったのは、マイクロソフトタイ法人の元社長で、アジア人女性でありながら米国本社の役員を務められた方に対して、岡田さんが最大級に丁寧な前置き表現「If you wouldn’t mind,」でワンクッションを入れてから依頼内容を伝えるケースです。この辺りのエピソードについても、類書では記載されていない本書ならではの価値の一つであると思います。

最後に

今後、機械学習/ディープラーニングを活用した自動翻訳技術の精度が飛躍的に向上することによって、英語運用能力自体が不要になると指摘する識者もいるようです。彼らの言う通り、文字通り、機械的な意味での翻訳はテクノロジーの進化によって自動化される流れがあることは個人的にも感じていますが、岡田さんが本書の中で指摘しているように、より本質的に重要なのは、ネイティブのような「こなれた表現」を使いこなすことではなく、「グローバルの環境下において、相手起点のコミュニケーションができるか否か」であり、さらに言い換えれば、「人間の心の機微に立脚したコミュニケーションをグローバルの共通言語である英語を駆使して設計する能力」と言えるのかもしれません。その意味でも、本書を読むことは、21世紀に必要とされる真に実践的な英語能力を鍛えることに間違いなくつながると思います。是非とも書店に行った際には、手に取って頂けると幸いです。

▶︎ ビジネス現場で即効で使える 非ネイティブエリート最強英語フレーズ550

【参考】岡田兵吾さんのTwitterアカウント

執筆者:勝木健太

1986年生まれ。幼少期7年間をシンガポールで過ごす。京都大学工学部電気電子工学科を卒業後、新卒で三菱UFJ銀行に入行。4年間の勤務後、PwCコンサルティング、有限責任監査法人トーマツを経て、フリーランスの経営コンサルタントとして独立。大手消費財メーカー向けの新規事業/デジタルマーケティング関連のプロジェクトに参画した後、大手企業のデジタル変革に向けた事業戦略の策定・実行支援に取り組むべく、株式会社And Technologiesを創業。執筆協力実績として、『未来市場 2019-2028(日経BP社)』『ブロックチェーン・レボリューション(ダイヤモンド社)』、寄稿実績として、『キャリアハック』『Forbes JAPAN』『ダイヤモンド・オンライン』『BUSINESS INSIDER JAPAN』『ITmedia』等がある。Facebookアカウントはこちら / Twitterアカウントはこちら